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放影研報告書(RR) 2-00

原爆被爆者における肝臓がん:組織学的特徴ならびに放射線とB型・C型肝炎ウイルスとの関係

福原敏行, Sharp GB, 水野照美, 板倉英世, 山本正美, 徳永正義, 徳岡昭治, Cologne JB, 藤田委由, 早田みどり, 馬淵清彦
J Radiat Res 42:117-30, 2001
要 約
電離放射線に被曝した人において肝がんのリスクが上昇しており、また日本およびその他の地域で肝がんの罹患率が高く、かつ上昇しているので、原爆被爆者における原発性肝がんの組織学的特徴とB型肝炎ウイルス(HBV)およびC型肝炎ウイルス(HCV)感染との関係は特に興味深い。1945年に広島または長崎に居住していた120,321人の対象者集団で 1958−1987年に発生した肝がんの病理学的検討を行った。病理学者グループが腫瘍の組織型を分類し、随伴する肝臓の硬化病変の定義づけを行った。保存組織試料を病理学的染色およびポリメラーゼ鎖反応(PCR)を用いて調べ、HBVの有無を確認した。逆転写酵素(RT)PCRを用いてHCV感染状況を決定した。年齢、診断年、性およびウイルス感染状況を補正し、無条件ロジスティック回帰法により肝細胞癌(HCC)302症例を胆管癌(CC)53症例と比較した。

硬化病変の頻度は、CC症例よりもHCC症例で有意に高かった(HCCでは 76%、CCでは 6%)。CC症例と比較すると、HCC症例はHBV陽性である確率が 10.9倍高く(95%信頼区間:2.1-83.2)、HCV陽性である確率は 4.3倍高かった(95%信頼区間:1.1-20.5)。放射線被曝についてはHCC症例とCC症例の間に有意差はなかった。原爆被爆者にHCCが多発しているが、これは日本における肝がんのバックグラウンド・パターンに類似している。我々の所見は、肝硬変が存在するか否かにかかわらずHCC発生にHBVおよびHCVが関与していること、またCC発生ではHBVおよびHCVの重要性ははるかに低いことを示唆している。