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放影研報告書(RR) 18-00

原爆被爆者におけるFISH法による安定型染色体異常の検出:同じ被爆者230人における通常ギムザ染色法との比較

中野美満子, 児玉喜明, 大瀧一夫, 伊藤正博, Delongchamp RR, 阿波章夫, 中村 典
Int J Radiat Biol 77(9):971-7, 2001
要 約
3,000人以上の原爆被爆者に関して得られた安定型染色体異常頻度を用いて線量効果関係の特性について解析を行った。用いた指標は、各人について 約100個の培養リンパ球に検出されたギムザ染色による転座や逆位を1個以上持つ細胞の割合である。統計手法により個々人の推定線量と超2項変動における不確実さを考慮した。高度に有意な非線形の線量効果関係が観察された。線量効果関係の形状は、1.5Sv以下では凹状であったが、高線量では飽和する傾向が見られた。この曲がり加減は両市でほぼ同じであり、交差線量(crossover dose、すなわち1次項の係数と2次項の係数の比)は 1.7Sv(95%信頼区間は 0.9-4Sv)であった。低線量における勾配は両市の間で有意に異なっており、広島では 1Sv当たり 6.6%(95%信頼区間は 5.5%から 8.4%)、長崎では 3.7%(95%信頼区間は 2.6%から 4.9%)であった。この差は日本家屋内の被爆者に限定して解析するとかなり減少したが無くなりはしなかった。長崎の工場内被爆者および両市の屋外被爆者で軽度遮蔽もしくは無遮蔽の場合には、日本家屋内被爆者におけるよりも線量効果関係が低かった。このことは、長崎工場内被爆者の場合にはDS86線量が 約60%過大になっていることを示唆している。長崎の工場内被爆者は 0.5Svから 2Svの範囲では全体の 約20%を占めているが、この線量問題は長崎における被爆者の発がんリスク評価にはほとんど影響を及ぼさないようである。