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放影研報告書(RR) 5-01

痴呆と中年期のリスク因子の関係: 放影研成人健康調査

山田美智子、笠置文善、佐々木英夫、増成直美、三森康世、鈴木 元
J Am Geriatr Soc 51(3):410-4, 2003
要 約

目的
 中年期のリスク因子と25−30年後の血管性痴呆ならびにアルツハイマー型痴呆の発症との関係について調査した。

研究形式
 縦断的コホート研究に基づく有病率調査。

背景
 1958年に開始された前向きコホート調査である成人健康調査の対象者は、広島において2年ごとの検診により追跡されている。

対象者
 1932年9月より前に生まれた広島の対象者1,774人は Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fourth Edition の診断基準に基づき、1992−1997年に診断された(痴呆なし:1,660人、痴呆:114人[うちアルツハイマー型痴呆:51人、血管性痴呆:38人])。

方法
 対象者について、性、年齢、教育、原爆放射線量、ならびに1965−1970年に評価された中年期のリスク関連因子(喫煙、飲酒、活動度、食習慣、収縮期血圧、肥満度、糖尿病の既往)が痴呆発症の要因であるかを調べた。

結果
 血管型痴呆の有病率は、年齢の増加、収縮期血圧が高いこと、牛乳摂取が少ないことで有意に増加した。血管性痴呆におけるオッズ比は、年齢の5歳増加、収縮期血圧の10mmHg増加に対して、各々 1.29と1.33であり、牛乳摂取の週4回未満に対するほぼ毎日摂取のオッズ比は 0.35であった。血管性痴呆のリスク因子はこの調査集団の脳卒中のリスク因子に合致する。アルツハイマー型痴呆の有病率は年齢の増加、低い教育歴で有意に増加した。その他の中年期のリスク因子および放射線量は血管性痴呆やアルツハイマー型痴呆との有意な関連を示さなかった。

結論
 中年期の高い収縮期血圧や少ない牛乳摂取が25−30年後の血管性痴呆の発生に関連していた。循環器疾患のリスク因子に関する生活習慣の早期のコントロールが痴呆の危険度を減少させるであろう。