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放影研報告書(RR) 8-01

原爆被爆者T細胞のマイトジェンに対する応答:マイトジェン応答性に及ぼす放射線の影響は検査時以前にがんと診断されなかった被爆者においても明らかである

楠 洋一郎, 林 奉権, 京泉誠之
Radiat Res 156(5):564-5, 2001
要 約
本誌の最近の論文(Kusunoki Y, et al, RERF Report No. 18-99, Radiat Res 155:81-8, 2001)において、広島の高線量(1.5 Gy以上)被曝者から得られた血液試料には、低線量(0.005 Gy未満)被曝者から得られたそれに比べて、コンカナバリンA(Con A)に反応して増殖能を有するT細胞や、Con Aに反応してインターロイキン2(IL2)を産生する能力のあるT細胞が有意に少ないという知見を我々は報告した。この成績は原爆放射線の影響を意味するものと確信していたが、我々が述べたすべての統計解析の中にがんと診断された対象者のデータが数多く含まれていたことに気付いた一人の注意深い読者から、この結論に対する懸念が提示された。既に我々は十分に詳しい統計解析を行うことによって、研究対象にがん症例を含めたとしても主論は影響を受けることなく導き出されるという結論を得ていたが、掲載された論文にはこれらの詳しい解析については記述していなかった。そこで我々は、がん症例が低線量被曝者集団に比べて高線量被曝者集団により多く含まれていた(従ってより多くの症例ががん治療の影響で免疫低下状態にあった)結果、高線量被曝者集団にT細胞機能の変化が観察されたのかもしれないという可能性を更に検討することが重要であると考えた。このため、検査時にがんと診断されていなかった高線量および低線量被曝者集団のすべての対象者について、すなわち、がんと診断された21人の低線量被曝者ならびに26人の高線量被曝者のデータを解析から除外して、再計算を行った。この新たに算出した結果とがん症例を除外しなかった場合との違いはごくわずかであった(すなわち、新たに算出された値は、掲載された我々の論文で述べた結論の根拠となっている成績とほとんど相違がない。また、これらの成績を読者が入手できるように考慮している)。従って、原爆放射線被曝によって CD4 T細胞集団の IL2産生能に有意な長期にわたる悪影響がもたらされたという我々の主論は、がん治療によって受ける可能性のある何らかの影響とは無関係に確固としたものとして導き出される。