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放影研報告書(RR) 16-02

ゲノムスキャンを用いた放射線のマウスとヒトに及ぼす遺伝的影響評価

浅川順一, Kuick R, 小平美江子, 中村 典, 片山博昭, Pierce DA, 船本幸代, Preston DL, 佐藤千代子, Neel JV, Hanash SM
Radiat Res 161(4):380-90, 2004
要 約
我々は、制限酵素切断点を標識とするゲノムスキャン法(RLGS)を用いて、マウス生殖細胞での放射線誘発突然変異の評価を行った。X線を照射されたオスのマウス精原細胞に由来する子供(3Gy群:237匹、5Gy群:79匹、対照群:190匹、合計506匹)のマウスについて1匹当たり1,115個のスポットを解析した。これらのスポットは常染色体上に位置するNotI DNA断片で2コピーであるが、解析ではそのうちの1コピー消失に伴うスポット強度の減少を検索した。その結果、23個のDNA断片を巻き込んだ 16個の独立した突然変異が20匹のマウスに検出された。16個の突然変異のうち8例は、マイクロサテライトにおける反復単位の増減による1塩基−9塩基の非常に小さな変異であった。5例はその欠失領域が 25kb以上の大きな遺伝子欠失で、残りの3例はSINE B2あるいはLINE1トランスポゾンの挿入による突然変異であった。欠失型突然変異の誘発率は、最大に見積っても (0.17±0.09)×10-5 突然変異/遺伝子座/Gyであった。この推定値は、Russellの特定7遺伝子座テストで検出された突然変異のうち半分が欠失型であると仮定して得られる誘発率、1×10-5 突然変異/遺伝子座/Gyに比べてかなり低いものである。この結果から、ゲノム全般における平均的な放射線誘発突然変異頻度は、7遺伝子座に比べてかなり低いものであることが示唆される。更に、RLGS法がヒトでの突然変異検出にも有用であることが示され、これによってヒトとマウスの2種について直接比較が可能となる。