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放影研報告書(RR) 21-02

放射線被曝者の末梢血CD4メモリーT細胞集団におけるT細胞受容体ベータ可変領域レパートリーの長期変化

楠 洋一郎, 山岡美佳, 笠置文善, 林 奉権, MacPhee DG, 京泉誠之
Br J Haematol 122(6):975-84, 200

要 約
ヒト末梢CD4 T細胞集団に放射線によるT細胞の一部枯渇が生じた際のT細胞受容体(TCR)ベータ可変領域(Vβ)レパートリーに生じる長期影響を調べるために、原爆被爆者集団の各対象者について、できるだけ広範囲にわたる TCR Vβファミリーの各々を発現している CD4 T細胞の割合を測定した。次に、特定の TCR Vβファミリーを発現する細胞の比率が、対象者全体での平均値とどの程度隔たっているかを算定した。その結果、被爆者のナイーブCD4 T細胞集団には TCR Vβレパートリーのシステマティックな変化があるという証拠は何も見られなかったが、メモリーCD4 T細胞の TCR Vβファミリー発現では、特に被爆時年齢が20歳以上で被曝線量が高い人ほど、対象者全体の平均値から有意に逸脱していることが認められた。TCR Vβファミリー発現の様相を、これらの20歳以上で被爆した被爆者同一人のナイーブおよびメモリーCD4 T細胞集団で比較すると、これら2種類のCD4 T細胞プール間 TCR Vβレパートリーの違いは、被爆していない対照に比べて、より高線量に被曝した被爆者で大きいことが分かった。以上の成績から、成人期にある程度の線量の放射線を被曝すると、被爆しなかった場合に比べて、メモリーCD4 T細胞集団で使用されている TCR Vβファミリーの構成が偏る(多様性の乏しいままに留まる)可能性のあることが示唆される。