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放影研報告書(RR) 15-03

ヒト血液リンパ球におけるクローン性染色体異常頻度は予知可能である

中村 典, 中野美満子, 児玉喜明, 大瀧一夫, Cologne JB, 阿波章夫
Radiat Res 161(3):282-9, 2004
要 約
最近我々は、原爆被爆者に生じたクローン性染色体異常の大規模な調査を行い、その結果に基づいて血液リンパ球の大まかなクローン構造モデルを作成した。本報告ではこのモデルの一つの応用として、細胞遺伝学的手法によって検出される個々人のクローン数(m)は予知可能であることを示す。これは、m=(1.8+6.4FGFP×n/500の式で表される。ここで FGは46本の染色体セットにおける転座の推定頻度、FPは染色体着色法(FISH)あるいは他の方法による転座の観察頻度、そしては観察細胞数である。この式を7件の論文結果に適用したところ、観察されたクローン数と計算によって求められたクローン数との間に良い一致が見られた。このモデルは、クローンの拡大はまれな現象ではなく、いかなる転座でも細胞遺伝学的なクローン形成が可能であることを示している。従って、これらの体細胞で観察されたクローン形成はその大半がランダム事象によるもので、健康に悪影響を及ぼすものではないと思われる。更に、チェルノブイリ原発作業者を対象に被曝5−6年後に行われた調査で観察されたクローン異常のほとんどがこのモデルによって予知できたことから、クローンの拡大は、主に放射線被曝後数年以内に生じると考えられる。この期間は恐らく、被曝によって生じたリンパ系および造血系傷害の回復過程と関係があるように思われる。