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放影研報告書(RR) 27-03

原爆被爆者における炎症マーカーに対する放射線の長期影響

林 奉権, 森下ゆかり, 久保美子, 楠 洋一郎, 林 幾江, 笠置文善, 箱田雅之, 京泉誠之, 中地 敬
Am J Med 118(1):83-6, 2005
要 約
原爆放射線による被曝は半世紀以上経過した今日でも生存者に長期的な健康への影響を及ぼしている。本研究において、我々は広島の原爆被爆者における被曝線量と亜臨床的炎症状態および免疫グロブリン産生との関係を調べた。原爆被爆者の長期疫学研究コーホートの中から無作為に選ばれた442人を対象者とした。対象者の末梢血液試料を用いて炎症マーカーや抗体のレベルを測定した。その結果、我々は被曝線量の増加に伴う統計学的に有意な上昇を以下のマーカーで見いだした。(1)炎症マーカーTNF-α、IFN-γ、IL-10の血漿レベル、(2)赤血球沈降速度(ESR)、および(3)total Ig、IgA、IgMレベルである。IgGとIgEレベルは被曝線量による有意な影響を示さなかった。放射線被曝線量の増加と加齢が本研究で調べたほとんどの炎症マーカーの上昇を伴っていたことから、放射線の影響を加齢に換算して検討を行った。すなわち、1Gyの放射線被曝は被爆者のESRとTNF-α、IL-10、total Igレベルから判断して約9年の加齢に相当することが分かった。これらの結果から、原爆放射線は加齢と同様に炎症マーカーや抗体産生量の増加に寄与しており、従って放射線被曝が加齢による炎症状態の亢進を更に促進しているかもしれないということが示唆される。

Am J Med 118(1): 83-6, Hayashi T. Morishita Y, Kubo Y. Kusunoki Y, Hayashi I, Kasagi F, Hakoda M, Kyoizumi S. Nakachi K, Long-term effects of radiation dose on inflammatory markers in atomic bomb survivors, © 2005 Elsevier Inc.の許可を得て掲載。