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放影研報告書(RR) 3-04

最近の線量推定方式変更が原爆被爆者のがん死亡リスク推定に及ぼす影響

Preston DL, Pierce DA, 清水由紀子, Cullings HM, 藤田正一郎, 船本幸代, 児玉和紀
Radiat Res 162(4):377-89, 2004
要 約
放射線影響研究所は、これまでの線量推定方式DS86に代わり新線量推定方式DS02を最近導入した。この論文では、固形がんや白血病といった放射線に関連したがんの死亡リスク推定にこの変更が及ぼす影響について調べた。推定線量の変化は多くの人が予想していたよりは小さく、主たる系統的な変化は両市ともに推定ガンマ線量が約10%増加したことである。特に、低線量被爆者における広島の中性子線量については大きな増加が予想されていたが、そのような増加はなかった。その一方でDS02は、爆弾から放出された放射線の特性や、建物および地形による遮蔽の影響など、DS86の多くの細かい部分を改善している。この論文で使用したデータは、以前報告された固形がんの追跡調査を3年間延長しており、合計死亡数は 10,085人で、白血病の追跡調査は10年間延長して合計死亡数は296人であった。固形がんおよび白血病ともに、リスクの推定される年齢−時間パターンと性差は線量改訂によりほとんど変化しなかった。1Sv当たりの固形がんの放射線リスク推定値と白血病の曲線線量反応推定値はどちらも、ガンマ線の推定値が増加したため、線量改訂により約8%減少した。線量反応の形状には線量改訂による変化はほとんど見られないが、固形がんに関しては追跡調査が更に3年間延長されたことによる影響が幾分ある。特に、0−2Svという限定された線量域で、固形がんに統計的に有意な上向きの曲線性が初めて見られた。しかし、この線量域に当てはめた線形二次の低線量の勾配は、0−1Sv、0−0.5Svおよび0−0.25Svの線量域の線形勾配よりもかなり小さいので、それをリスク推定の根拠とすべきではないであろう。過大推定の可能性がある長崎の工場内被爆者の線量が、新線量推定方式では低くなるのではないかという予想があったが、これは具体化せず、またリスク推定値は有意に低かった。この長崎工場内被爆者について考慮するしないにかかわらず、両市間の推定がんリスクに統計的に有意な差はなかった。