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放影研報告書(RR) 8-04

原爆被爆者における甲状腺結節保有者の長期予後、結節非保有対照者との比較

今泉美彩、宇佐俊郎、富永 丹、赤星正純、芦澤潔人、市丸晋一郎、中島栄二、石井玲子、江島英理、飛田あゆみ、早田みどり、前田蓮十、長瀧重信、江口勝美
J Clin Endocrinol Metab 90(9):5009-14, 2005 September
要 約
背景 放射線被曝は甲状腺結節の発生と関連があるが、甲状腺結節を有する放射線被曝者の甲状腺がん発症の長期リスクについては明らかではない。

目的
 甲状腺結節を有する放射線被曝者におけるがん発症の長期リスクを明らかにする。

研究形式、設定および対象者
 1984年から1987年にかけて長崎放射線影響研究所の甲状腺調査に参加した2,637人の原爆被爆者(平均年齢59歳、男性1,071人、女性1,566人)を対象とした前向き研究である。対象者を、超音波所見を基に、がん以外の甲状腺充実性結節保有群82例、甲状腺のう胞保有群121例、甲状腺結節非保有対照群2,434例の3群に分けた。充実性結節保有群とのう胞保有群はいずれも術後の症例を含んでいた。充実性結節保有群の中で、68例は超音波で検出された充実性結節を持ち、そのうち31例は細胞診または組織診で良性と診断されていた。これらの対象者を平均13.3年間観察した。

主要検討項目
 平均観察期間13.3年における甲状腺がんの発症。

結果
 観察期間における甲状腺がんの発症は、充実性結節保有群では 6例(7.3%)、対照群では 7例(0.3%)、のう胞保有群では1例(0.8%)であった。充実性結節保有群で良性と診断されていた31例のうち、3例(9.7%)が甲状腺がんを発症した。性と年齢を調整したがん発症のハザード比(HR)は、充実性結節保有群で23.6(95%信頼区間[CI]、7.6-72.8)と有意に高かったが(充実性結節保有群で良性と診断されていた31例では、HR、40.2、95% CI、9.4-173.0)、のう胞保有群では有意な増加はなかった(HR、2.7、95% CI、0.3-22.2)。充実性結節保有群において、性、年齢、TSH値、サイログロブリン値、被曝線量、結節の体積、結節の体積変化は、いずれもがん発症を予知しなかった。

結論
 甲状腺充実性結節を有する原爆被爆者は甲状腺がん発症のリスクが高く、このような結節を持つ放射線被曝者には慎重な観察が必要であることが示唆された。

要約はThe Endocrine Societyの許可を得て掲載した。