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放影研報告書(RR) 10-05

甲状腺がんの放射線以外の危険因子に関する広島と長崎における症例対照研究

永野 純, 馬淵清彦, 吉本泰彦, 林 雄三, 津田暢夫, Land CE、児玉和紀
J Epidemiol 17(3):76-85, 2007
要 約
背景 日本における甲状腺がんの原因についてはほとんど分かっていないことから、我々は甲状腺がんと生活習慣やその他のリスク要因についての症例対照研究を行った。本報告では、既往歴、家族歴、喫煙、飲酒、およびこれらの要因と放射線被曝との交互作用に焦点を当てる。

方法 1970年から1986年の間に広島および長崎腫瘍登録に報告された甲状腺がん症例について、病理医による病理組織診断を行った。75歳未満で診断された乳頭状または濾胞状腺癌の362症例それぞれについて、都市、性、出生年、および原爆放射線被曝でマッチさせたがん既往のない対照者1人ずつを、寿命調査コホートあるいは被爆二世コホートから選出した。これらのコホート構成員は、原爆放射線の被曝があった、または被曝のなかった広島と長崎の住民であった。危険因子についての情報は、1986年から1988年にかけて実施された、あらかじめ構造化された面接を通じて入手した。

結果 条件付きロジスティック回帰を用いた解析の結果、甲状腺腫または甲状腺結節の既往とがんの家族歴が甲状腺がんオッズ比の増加と有意に関連していた。喫煙と飲酒は有意に、互いに独立してオッズ比の低下と関連していた。喫煙と飲酒との交互作用は、相加モデル、相乗モデルのいずれにおいても明らかではなかった。放射線被曝はこれらの要因と甲状腺がんリスクとの関連を有意に修飾することはなかった。

結論 甲状腺腫と結節の既往、およびがんの家族歴は甲状腺がんの危険因子であった。喫煙と飲酒は互いに独立してリスクの低下と関連していた。ただし、これらの結果は回顧的な自己報告による情報に基づいているので、その解釈には限界がある。