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放影研報告書(RR) 9-06

慢性甲状腺炎の指標としての抗サイログロブリン抗体陽性評価における有限混合モデル

中島栄二, 藤井良宜, 今泉美彩, 芦澤潔人
Jpn J Biomet 28(2):79-90, 2007
要 約
抗サイログロブリン抗体(TgAb)が陽性であることは慢性甲状腺炎(橋本病)の指標の一つである。2000年から2003年にかけて甲状腺疾患有病率調査が広島と長崎の放射線影響研究所で行われた。その調査結果を使って、EMアルゴリズムを用い、対数変換したTgAbレベルは二つの成分を持つ混合正規分布と矛盾しないことを示す。ここで、小さい方の正規成分はTgAb陰性群に対応するが、大きい方の正規分布は必ずしもTgAb陽性群には対応しない。一つの個体はTgAbレベルが、ある与えられたカットオフ値より大きい場合にTgAb陽性と判定される。我々は母集団に基づく方法によるカットオフ値と実験室の手法によるカットオフ値とを比較した。母集団に基づく方法には、単純法、ROC(receiver operating characteristic)曲線法、および最小化誤判別率(MMR)法がある。単純法はTgAb陰性の母集団のみを用いて陽性を決定する。ROC曲線法およびMMR法はTgAbの陽性陰性が分かっている場合のみ有効であるが、単純法はTgAb陰性が分かっていれば有効なので、我々のデータに対しては単純法がカットオフ値を決定するために有用であると考えられた。母集団に基づく単純法と比較して、実験室の手法によるカットオフ値は妥当であり、種々の方法から求めたTgAb陽性率はおおむね一致していることを示す。TgAbレベルにおける2成分混合正規分布について、カットオフ値を決定するための我々の母集団に基づく単純法は、臨床データの取り扱いにおいて、Thompsonら(Applied Statistics 1998)により示された方法とは別の、より実際的な例である。