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放影研報告書(RR) 15-06

ゲノムスキャン法を用いたマウス精原細胞のX線照射により生じるATリッチ配列における突然変異誘発率の推定

浅川順一, 中村 典, 片山博昭, Cullings HM
Radiat Res 168(2):158-67, 2007
要 約
以前の調査で、オスマウスの精原細胞にX線を急照射し、GCGGCCGCの塩基配列を認識する制限酵素NotIを標識酵素としたゲノムスキャン法を用いて放射線誘発突然変異を調べた結果、誘発率は0.7 × 10-5/locus Gy-1と推定された。今回は、ゲノムの観察部位によって放射線感受性が異なるかどうかを調べるため、CTTAAGの塩基配列を認識する制限酵素AflIIを用いてATに富むゲノム領域について調査を行った。マウス1頭当たり1,120個のスポットの検索を行った結果、非照射の父親由来のスポット92,655個中に5個、非照射の母親由来のスポット218,411個中に5個、5 Gy照射した父親由来のスポット92,789個中に13個の突然変異を検出した。この23個の突然変異の塩基配列を調べたところ、11個のスポットはサテライトDNA塩基配列(ATリッチ)により構成されており、残りの12個もATリッチ配列であったが、サテライトではなかった。どちらの場合もよく似た配列がゲノム上に複数存在していた。同じ親から生まれたマウスに検出されたクラスター突然変異をそれぞれ個々の突然変異として数え、非常に高い自然突然変異率を示した1個のスポットを除外して計算したところ、一世代一遺伝子座当たりの自然突然変異率はオスで3.2 (±1.9) × 10-5、メスで2.3 (±1.0) × 10-5であった。放射線誘発突然変異率は1.1 (±1.2) × 10-5/locus Gy-1となった。更に、サテライトDNAに検出された突然変異を除外して計算すると、この誘発突然変異率は0.9 × 10-5となる。今回の結果は、放射線誘発突然変異率はGCに富むゲノム領域でもATに富む領域でも大差はなく、1 × 10-5/locus Gy-1かあるいはそれ以下であり、この値は現在マウスの誘発突然変異率として推定されている平均値1.08 × 10-5/locus Gy-1に近いものである。