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放影研報告書(RR) 17-06

多検体処理能力を有する血清中の活性酸素種測定法

林 幾江, 森下ゆかり, 今井一枝, 中村正和, 中地 敬, 林 奉権
Mutat Res 631(1):55-61, 2007
要 約
体内の酸化ストレス状態を反映している血中の活性酸素の量を定量する方法として、活性酸素代謝物誘導体(D-ROM)テスト法が開発されている。本研究では、このD-ROMテスト法を多検体が処理できる自動アッセイシステムに改良し、臨床検査の分野に応用できる測定法として確立することを目的とした。5 μlの血清を、アルキルアミンと金属を含む総量240 μlの反応液が入った96穴のマイクロタイタープレートのウエルに添加した。その後、自動的に混合し、インキュベートした後、遷移金属の触媒効果を利用した505 nmにおける発色を分光光度計を用いて測定し、活性酸素種(ROS)レベルを検出した。このアッセイシステムを一例として、喫煙者と非喫煙者の血清ROSレベルの測定に応用した。このシステムで測定した血清中のROSレベルは、体内でいろいろな分子と反応し安定した物質となるフリーラジカルや過酸化物の総量に対応していた。この測定法は新鮮血清と同様に凍結保存血清にも使用可能である。本システムの日内および日差変動は5%以内であり、過酸化水素水の4-500 mg/lの範囲で一貫した直線性を示した。喫煙者の血清中ROSレベルは1日の喫煙数に伴って増加していた(1日1箱当たり36.5%増加、P < 0.0001)。本アッセイシステムは、ヒトの酸化ストレス状態を簡便に安価で、しかも高い信頼性を持って評価できる方法である。今回のタバコの喫煙と血清のROSレベルに関する予備的調査結果から、このアッセイシステムは様々な疫学調査や臨床調査に応用することにより有用な情報をもたらすことが示唆された。