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放影研報告書(RR) 1-07

歯エナメル質における41Ca量:第1部 広島の原爆被爆者における中性子被曝の生物学的証拠

Wallner A, Rühm W, Rugel G, 中村 典, Arazi A, Faestermann T, Knie K, Maier HJ, Korschinek G
Radiat Res 174:137-145, 2010
要 約
加速器質量分析(AMS)により歯のエナメル質に含まれる同位元素41Caを測定すれば、広島・長崎の原爆被爆者における熱中性子線の被曝を再構成できると考えられている。その理由は、一般的に41Ca原子は安定元素40Caが熱中性子を吸収して生じるので、原爆被爆者の歯のエナメル質中に存在する41Ca原子は、自然界からの中性子と原爆からの中性子の両方に起因すると考えられるからである。対照群の5人の被爆者から得られた歯を用いて、歯のエナメル質に自然に生成される41Ca量を調査し、13人の被爆者に由来する16本の歯について原爆中性子線の評価を行った。その結果、41Ca/40Caの同位体比は、対照群では0.17(±0.05)×10-14であり、近距離被爆者では2×10-14まで増加した。この同位体比は、爆心地からの距離との間に有意な逆相関を示した。これはFIA(free-in-air)における理論的に計算された熱中性子線の輸送計算から期待される結果とよく似ている。同じ試料については既にガンマ線の被曝線量が電子スピン共鳴法(ESR、あるいは電子パラマグネティック共鳴法、EPR)により測定されているので、今回の結果は、個々の原爆被爆者について計算されている中性子線量(これには被爆者における遮蔽条件などの仮定が含まれる)の正当化に役立つと思われる。