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放影研報告書(RR) 11-07

CD43発現レベルで識別した原爆被爆者メモリーCD4 T細胞サブセット

京泉誠之, 山岡美佳, 久保美子, 濱崎幹也, 林 奉権, 中地 敬, 笠置文善, 楠 洋一郎
Int J Radiat Biol 86(1):56-62, 2010
要 約
目的 我々の以前の研究では、分化抗原CD4を有する胸腺由来細胞メモリー細胞(メモリーT細胞)のレパートリーの多様性が原子爆弾(原爆)被爆者では放射線被曝によって減少していることが示された。放射線被曝後60年を経て原爆被爆者のT細胞メモリーがいかに維持されているか評価する目的で、被爆者の末梢血リンパ球において機能的に異なるメモリーCD4 T 細胞サブセットを調べた。

方法 フローサイトメトリーを用いて、三つの機能的に異なるメモリーCD4 T 細胞サブセットをCD43の発現レベルで識別し、測定した。これらのサブセットは、機能的に成熟したメモリー細胞、抗原刺激に対する応答が弱い細胞、および抗原不応答で細胞死しやすい細胞から構成される。

結果 これらのメモリーCD4 T 細胞サブセットの末梢血CD4 T 細胞における割合は、いずれにおいても加齢に伴う有意な増加が認められた。また、機能的に劣弱および不応答なサブセットの割合は、対数線形モデルに適合した被曝線量に伴う増加が観察された。一方、メモリーCD4 T 細胞プール中では、被曝線量と機能的に成熟したメモリー細胞の割合との間に負の関係が見られた。

結論 以上の結果は、原爆被爆者では細胞の活性化や生存過程を経て制御、維持されるべきT細胞メモリーが、過去の放射線被曝によって撹乱されている可能性があることを示唆している。

本報告はInt J Radiat Biol 86(1):56-62, 2010(©2010 Informa UK Ltd.)に掲載され、別刷を出版社から購入した。要約は出版社(Taylor & Francis)の許可を得て翻訳した。