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放影研報告書(RR) 4-09

放射線被曝と循環器疾患リスク:広島・長崎の原爆被爆者データ、1950-2003

清水由紀子, 児玉和紀, 西 信雄, 笠置文善, 陶山昭彦, 早田みどり, Eric J Grant, 杉山裕美, 坂田 律, 森脇宏子, 林 美希子, 紺田真微, Roy E Shore
BMJ 2010; 340:b5349
doi:10.1136/bmj.b5349
要 約
目的
 電離放射線が心疾患および脳卒中に及ぼす死亡リスクの程度を調べること。

研究デザイン 追跡期間50年以上の前向きコホート研究。

設定 日本の広島・長崎の原爆被爆者。

対象者 個人被曝線量が推定されている86,611人から成る寿命調査集団で、線量範囲は0–>3 Gyに及ぶが、86%の人が0.2 Gy未満である。

主な結果指標 脳卒中、心疾患を原死因とする死亡率および原爆放射線量とこれらの死亡率との線量反応関係。

結果 1950年から2003年までに、脳卒中、心疾患により、それぞれ約9,600人、8,400人が死亡した。脳卒中の線形線量反応モデルに基づく1 Gy当たりの過剰相対リスクの推定値は9%(95%信頼区間:1–17%、P = 0.02)であったが、上向きの曲線傾向が見られることから、低線量では比較的リスクが少ないことが示唆された。心疾患の1 Gy当たりの過剰相対リスクの推定値は14%(95% CI:6–23%、P < 0.001)で、線形モデルが最もよく適合し、低線量でも過剰リスクの存在が示唆された。しかし、0–0.5 Gyに限定した場合、線量反応は有意ではなかった。前向き研究で得られた喫煙、飲酒、教育歴、職歴、肥満、糖尿病のデータは、脳卒中、心疾患のいずれの放射線リスク推定にもほとんど影響を及ぼさず、がんが循環器疾患と誤診されることも、観察された関係を説明できなかった。

結論 0.5 Gyを超える被曝線量では、脳卒中、心疾患ともにリスクの増加が見られたが、低線量でのリスクの程度は明らかではない。被爆者において、脳卒中と心疾患を合わせた放射線関連の過剰死亡数はがんによる過剰死亡数の約3分の1である。