Menu does not appear
-- SiteMap

放影研報告書(RR) 1-93

広島原爆被爆者の培養リンパ球の放射線誘発性染色体異常に関するG-バンド法分析

大瀧一夫,中島栄二
Jpn J Hum Genet 37:245-62, 1992
要 約
本報告は広島原爆被爆者63人から得た培養リンパ球染色体を用い、放射線誘発性染色体異常の型と頻度について、G-バンド法による分析結果を述べる。

(1) 安定型異常を有する細胞(Cs細胞)が異常細胞の大多数を占め、かつ線量依存性の異常頻度の増加を示した。すべての安定型異常は、相互転座、複雑転座、挿入、複雑交換、挟動原体逆位、偏動原体逆位、端部欠失、中間部欠失および識別不能型の9群に分類された。すべての異常群において、染色体異常頻度は線量の増大に伴って増加した。相互転座は、どの線量域においても優位に出現し、異常群の主体であった。複雑異常の頻度は低線量域では低かったが、線量の増加に伴って急激に上昇した。

(2) Cs細胞頻度から、線量反応関係における線形モデルの適合を検討した。中性子線量のRBE値を10とした場合、推定される線形モデルのDS86骨髄推定線量 1Sv当たりの勾配は 15.2%、切片は 2.9% であった。この観察の結果、どの線量域においても、個々の被爆者のCs細胞頻度には広いばらつきが認められた。

(3) 相互転座に関与する 3,370個 の切断について統計的な解析を行った結果、個々の染色体について相対DNA量と染色体切断数の分布との間には高い相関が認められた。しかしながら、1番染色体の転座関与切断数は有意に高かった。その理由はまだ分からない。