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放影研報告書(RR) 18-93

日本人マスタードガス作業員の肺腫瘍におけるp53突然変異

武島幸男,井内康輝,Bennett WP,Metcalf RA,Welsh JA,米原修治,林 雄三,藤原 恵,山木戸道郎,秋山實利,徳岡昭治,Land CE,Harris CC
Carcinogenesis 15(10):2075-9, 1994
要 約
マスタードガスは突然変異誘発能および発癌性を持つアルキル化剤であり、職業被曝による肺癌のリスク因子として知られている。我々はマスタードガス作業員の肺腫瘍は、p53腫瘍抑制遺伝子にマスタードガスによりDNA前突然変異誘発性付加生成物が生じた結果の突然変異(G:CからA:Tのトランジション)を有すると仮定する。マスタードガス工場の日本人作業員に観察された原発性肺癌12例、および非被曝者の肺癌12例を分析した。ゲノムDNAをパラフィンブロック包埋保存組織から分離した。エクソン5から 8を p53特異プライマーを用いてPCR法で増幅し、ジデオキシ法で塩基配列を決めた。その結果、マスタードガス作業員の肺癌12例のうち6例に合計8個の体細胞点突然変異が認められ、そのうち、G:CからA:Tの二重トランジションが2例、G:CからT:Aのトランスバージョン1例、A:TからG:Cのトランジション1例、単一塩基欠損が2例であった。6例の突然変異プリンのうち4例は非転写DNAコードストランド上で発生した。マスタードガス非被曝12例のうち原発性肺癌6例に、合計六つの単一塩基突然変異が認められたが、いずれも二重突然変異ではなかった。マスタードガス被曝症例の肺癌における p53 突然変異の頻度は、非被曝症例および以前に報告された喫煙に関連した通常の肺癌と同様であるが、2症例に認められた明瞭な二重突然変異(G:CからA:Tのトランジション)は今までほとんど観察されていない非常に珍しいもので、マスタードガス被曝と関連しているのかもしれない。