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放影研報告書(RR) 5-95

ヒト免疫システムにおける放射線の後影響:原爆被爆者の免疫反応概説

秋山實利
Int J Radiat Biol 68(5):497-508,1995
要 約
原子爆弾の放射線の免疫システムに及ぼす後影響の調査は、1945年の原爆投下から20年後に始まった。放射線の最も顕著な後影響は、高線量(≧1.0Gy)に被曝した被爆者におけるT細胞およびB細胞の機能的かつ量的な異常である。T細胞の免疫異常には、1)末梢血リンパ球におけるCD3+T細胞の割合、特にCD4+CD45RA+ナイーブT細胞の割合の減少(調査期間:1987−1991年)、2)CD4-およびCD8-(ダブルネガティブ)αβ+T細胞頻度の増加(1987−1991年)、3)マイトジェンおよびアロ抗原に対するT細胞反応の機能的欠陥(1974−1985年)がある。B細胞の異常には、1)末梢血リンパ球中のB細胞の割合の有意な増加(1987−1991年)、2)女性における血清免疫グロブリンA値、男女における免疫グロブリンMおよびリウマチ因子の発生率の増加(1987−1989年)、3)抗Epstein-Barrウイルス抗体価レベルの増加(1987−1990年)がある。対照的に、示唆的(0.05<<0.1)もしくは有意でない(>0.1)線量効果が、ナチュラルキラー(NK)細胞数と機能(1983−1991年)、および良性単クローン性ガンマグロブリン血症(1979−1987年)について観察された。なお、投下後まもなく始められた、自己免疫疾患の発生率(1958−1987年)、細菌性の全身感染症(1954−1967年)、顆粒球機能(1947−1979年)についての調査では線量効果はほとんど観察されていない。このように、原爆放射線はT細胞およびB細胞サブセット間のバランス/相互作用の変化を引き起こした。具体的に言えば、末梢におけるT細胞集団の減少とB細胞集団の増加である。