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放影研報告書(RR) 2-96

放射線被曝により誘発された生体内T細胞受容体突然変異を早期検出するためのin vitro刺激による迅速発現

石岡奈穂子,梅木繁子,平井裕子,秋山實利,児玉尚志,大濱紘三,京泉誠之
Mutat Res 390:269-82, 1997
要 約
T細胞抗原受容体突然変異頻度測定法(TCR突然変異アッセイ)は、生体内体細胞突然変異についての電離放射線被曝の感度のよい指標である。しかしながら本法は、突然変異形質の発現に数カ月が必要なため、被曝直後に利用することができない。本研究では、リンパ球をマイトジェンで刺激して、T細胞中のTCR蛋白発現の代謝回転を促進することにより、この時間的遅れを除く。健常人から得たリンパ球に種々の線量のX線を照射し、PHA刺激後、ヒトIL-2を含む培地で培養した場合、CD4+ T細胞の突然変異頻度(MF)は、はじめの7日間は線量依存的に上昇し、その後突然変異細胞の増殖障害のため急速に減少した。この結果は、PHA刺激は被曝後の突然変異形質の発現に必要な時間を7日以内に短縮できることを示している。照射線量と7日目のTCR MFとの関係は、線形二次線量反応モデルが最もよく適合した。我々はこの改良型TCR突然変異アッセイを、局所に5日間の放射線治療(総線量約10Gy)を受けた婦人科の癌患者に適用した。これらの患者の生体内TCR MFは放射線治療後1週間以内には変化しなかったが、同じ患者のPHA刺激を受けたリンパ球におけるin vitro TCR MFは、培養開始後7日目に顕著に上昇した。In vitro線形二次線量反応曲線に基づく婦人科の癌患者の末梢血リンパ球における推定平均被曝線量は約0.9Gyであった。この推定線量は、同様の放射線治療を受けた子宮頸癌患者における不安定型染色体異常について先に報告された推定線量と近い値を示した。これらの結果から、この改良型TCR突然変異アッセイは最近の放射線被曝の生物学的線量計として有効であると言える。