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放影研報告書(RR) 7-96

胎内被爆者と幼児期被爆者における癌死亡率,1950年10月−1992年5月

Delongchamp RR,馬淵清彦,吉本泰彦,Preston DL
Radiat Res 147:385-395, 1997
要 約
1950年10月から1992年5月までの胎内原爆被爆者のがん死亡率を解析した。また、このグループのリスク推定値を被爆時年齢6歳未満の被爆者と比較した。胎内被爆者807人と小児期に被爆した 5,545人が調査対象集団に含まれており、両集団全員の推定線量は 0.01Sv以上である。対照集団には、ごく低量の線量(<0.01Sv)に被曝しているか、または非被曝の 10,453人が含まれている。主に17歳から46歳までのがんによる死亡に限定して解析を行った。胎内被爆者でのがんによる死亡は10件だけであった。しかし、1シーベルト当たりの過剰相対リスク(ERR/Sv)の推定値は2.1(90%信頼区間[CI]:0.2から6.0)で、有意な線量反応が見られた。この推定値は、生後5年以内に被爆した人と有意差はない。胎内被爆者で見られたがんによる死亡は、白血病(2例)、婦人科系のがん(3例)、消化器系のがん(5例)によるものだった。女性に9例の死亡がみられ、全固形がんの過剰リスク(ERR/Sv)の90% CIは1.6から17であった。消化器系のがん(ERR/Svの90% CI:0.7から20)と婦人科系のがん(ERR/Svの90% CI:0.7から42)では有意なリスクが観察された。これらのリスクは小児期に被爆した女性に見られるリスクと有意差はない。男性の胎内被爆者では固形がんによる死亡例は見られなかった。ERR/Svの95% CIの上限は2.5であり、小児期被爆者の1.5と差はない。婦人科系のがんを比較対象から除外した場合でも性差が観察された。胎内被爆者における白血病による死亡は2例しか見られていないが、このグループの白血病による死亡率は対照群よりも高く(=0.054)、被曝効果は、小児期被曝後の死亡率の約半分で、有意差がない(=0.103)。しかし、胎内被爆者では高線量被曝者の白血病による死亡例がないので、線量反応があるとは言えない。この結果は小児期被爆者の場合とかなり異なる。これらのデータは注意して解釈する必要がある。まず第一に、がんによる死亡数が少なく、第二は、固形がんの死亡率に説明できない有意な性差があり、第三に、胎内被爆者の白血病の過剰発生が線量反応の増加に表われていない。