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放影研報告書(RR) 14-96

原爆被爆者における放射線治療,広島・長崎

加藤一生, 安徳重敏, Russell WJ, 藤田正一郎, Pinkston JA, 早渕尚文, 星正治, 児玉和紀
Radiat Res 149:614-24, 1998
要 約
原爆被爆者が受けた放射線治療に関する過去2回の調査に引き続いて、大規模な調査を1)原爆被爆者の受けた放射線治療の回数ならびに2)広島と長崎で行われてきた放射線治療の類型を明らかにするために行った。過去2回の調査は放射線影響研究所の成人健康調査(AHS)集団20,000人における放射線治療を調査対象としていた。本調査はその調査対象者を、93,611人の原爆被爆者と原爆投下時に両市に在住していなかった 26,517人の広島・長崎市民から構成される寿命調査(LSS)集団に広げて行った。LSS集団にはAHS集団が含まれている。本調査は1981年から1984年にかけて行われた。調査チームは広島・長崎にある11の大病院に保管されていた24,266人の患者に対する放射線治療の医療記録をすべて調べた。その中に含まれていた1,556人のLSS対象者に対する放射線治療の医療記録は詳細に調査した。過去の調査と本調査で得られたデータを解析し、1945年から1980年の間に放射線治療を受けた対象者数はLSS集団において4,501人(3.7%)、AHS集団において1,026人(5.1%)であると推定した。1945年から1965年の間に行われた放射線治療の98%は深部治療用X線によって行われ、66%は良性疾患に対して行われていた。1966年から1980年の間に行われた放射線治療の94%は悪性新生物に対するものであった。この間、広島では60Coガンマ線照射装置が、長崎では高エネルギー電子線加速器がそれぞれ多く用いられていた。LSS対象者に対する放射線治療の平均頻度は1945年から1965年の間で158コース/年、1966年から1980年の間で110コース/年と推定した。本調査で、377人のAHS対象者が放射線治療を受けていたことが明らかになった。その数は過去2回の調査で見つかった数の約2倍である。このように、本調査によってAHS対象者に対する放射線治療のデータを大きく更新することができた。このデータはAHS集団における放射線の人体影響に関する線量効果関係のより詳細な解析に情報を提供する。本調査で病院の治療記録から得られた情報は病院名、治療期間、治療部位、診断名、治療線量、放射線源、照射野面積ならびに患者個人を特定するためのデータである。これらのデータから散乱線による臓器線量を推定し、治療用放射線による影響を評価することができる。