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放影研報告書(RR) 3-97

放射線誘発ヒト甲状腺発癌の初期過程における組織特異的活性化癌遺伝子の持続的発現

水野照美, 京泉誠之, 鈴木隆子, Iwamoto KS, 瀬山敏雄
Oncogene 15:1455-60, 1997
要 約
電離放射線は発癌過程に寄与するリスク因子として知られているが、その放射線発癌機構については不明である。最も可能性が高いものとして、放射線によって誘発される染色体再構成が、癌化を引き起こす主たる遺伝子変化の一つであると考えられている。慢性骨髄性白血病に関連するBCR-ABL融合遺伝子や、甲状腺乳頭癌に見られるH4-RET融合遺伝子は、それぞれ、転座や逆位によって生じる。試験管内実験によって、これらの遺伝子変化が高線量のX線を照射された培養細胞中に誘発されることが示された。ホジキン病など各種小児癌のX線療法(60Gy以下)が甲状腺発癌リスクを高めることも分かっている。我々は、甲状腺発癌の初期過程を明らかにするために、scidマウスに移植されたヒト甲状腺組織に50GyのX線を照射し、これらの遺伝子変化が誘発され、また維持されるか、2ヵ月間にわたり調査した。H4-RET遺伝子は照射2日目から、2カ月後まで検出された。一方、BCR-ABL遺伝子は2日目にのみ検出されたが、それ以降では検出されなかった。これらの結果は、電離放射線が様々な癌遺伝子の活性化を引き起こすこと、しかし、甲状腺発癌と特異的に関連する特定の遺伝子変化のみを有する細胞が、ヒト甲状腺組織における放射線発癌の初期に生じる変化の一つとして現れて選択的に保持されることを示唆している。