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放影研報告書(RR) 11-97

日本人集団における痴呆の有病率とリスク因子:放射線影響研究所における広島成人健康調査より

山田美智子, 佐々木英夫, 三森康世, 笠置文善, 須藤慎治, 池田順子, 細田 裕, 中村重信, 児玉和紀
J Am Geriatr Soc 47:189-95, 1999
要 約
目的 日本人集団における痴呆の有病率とそのタイプを調べる。また、アルツハイマー病や脳血管性痴呆と性、年齢、既往歴などのリスク因子の関係についても検討する。

研究形式 長期追跡コホート集団での有病率調査。

背景 成人健康調査コホートは1950年の国勢調査附帯調査と原爆生存者調査をもとに、広島、長崎の住民から選択された原爆被爆者と対照者から設定された。成人健康調査対象者には1958年以来2年ごとに、検診による追跡調査が行われている。

対象者 成人健康調査コホートの中から、年齢が60歳以上の男性637人と女性1585人を対象とした。48人は病院あるいは施設に入所中であった。

方法 1992年9月から1996年9月まで、1958年から継続されている2年ごとの検診に加えて、訓練を受けた看護婦によって、認知機能評価テスト(CASI)が施行された。認知機能評価で痴呆を疑われた 343人とCASIのスコアが高い群から無作為に抽出された 272人の中で痴呆の有無とそのタイプが診断された。

結果 神経学的診察、介護者への問診をもとに、DSM-III-Rの診断基準に準拠し、臨床痴呆評価スケールが1以上を条件とした痴呆の有病率は7.2%であった。アルツハイマー病の有病率は男性2.0%、女性3.8%、血管性痴呆は男性2.0%、女性1.8%であった。多変量ロジスティック線形回帰解析により、アルツハイマー病や脳血管性痴呆とリスク因子の関係を検討した。アルツハイマー病におけるオッズ比は、年齢の10歳増加で 6.3、教育歴の3年増加で0.6、頭部外傷の既往で 7.4、がんの既往で 0.3であった。脳血管性痴呆に関するオッズ比は年齢10歳、脳卒中の既往、高血圧の既往でそれぞれ 2.0、35.7、4.0であった。いずれの痴呆も性、放射線被ばくの有無による有意な影響は認められなかった。

結論 この研究は日本における痴呆の有病率の調査の中で初めて、アメリカの痴呆研究と十分に比較できるよう、類似の研究方法で実施された。過去に日本で報告された多くの報告に比べると、今回得られた有病率はアメリカの有病率により類似した率を示した。