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放影研報告書(RR) 14-97

原爆被爆者末梢血リンパ球におけるT、BおよびNK細胞中のサブセットのフローサイトメトリーによる測定

楠 洋一郎, 京泉誠之, 平井裕子, 鈴木隆子, 中島栄二, 児玉和紀, 瀬山敏雄
Radiat Res 150(2):227-36, 1998
要 約
原爆被爆者の血液細胞に関するこれまでの研究では、染色体異常や体細胞突然変異の頻度が高線量被爆者で上昇し、T細胞機能や成熟T細胞の数が成人で被ばくした被爆者において低下していることが示された。今日のフローサイトメトリーの進展はT、BおよびNK細胞中の種々のサブセットの精巧な解析を可能にした。今回の研究では、過去の放射線被ばくによって、これらのサブセットの構成が変化したか検討する目的で、原爆被爆者(1.5 Gy以上の被ばくを受けたと推定される被爆者159人および対照252人)の末梢血リンパ球中のこのようなサブセットの比率をリンパ球分化抗原に対する種々のモノクローナル抗体を組み合わせて測定した。T細胞サブセットの中で、CD4+ T細胞の比率が高線量被爆者において著しく低下し、その傾向は CD4+ CD45RA+ナイーブT細胞サブセットにおいて明らかであった。しかしながら、CD8+ T細胞サブセットの比率は高線量被爆者と対照との間に有意な差はみられなかった。B細胞サブセットに関しては、CD5+およびCD5- B細胞のいずれも CD23+および CD23- B細胞と同様に高線量被爆者で比率が上昇していた。さらに、NK細胞サブセットの比率では放射線被ばくの影響はみられなかった。これらの結果から過去の放射線被ばくによって原爆被爆者の末梢血のTおよびB細胞の構成が変化したことが強く示唆され、原爆放射線被ばくによってTおよびB細胞の分化過程が影響を受けた可能性が挙げられる。