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放影研報告書(RR) 16-97

広島原爆被爆者における歯エナメル質の電子スピン共鳴法(ESR)とリンパ球の染色体異常による被曝線量評価の緊密な相関

中村 典, 宮澤忠蔵, 澤田昭三, 秋山實利, 阿波章夫
Int J Radiat Biol 73(6):619-27, 1998
要 約
目的 広島の原爆被爆者から提供された歯のエナメル質に残されたガンマ線量を電子スピン共鳴法(ESR)を用いて推定し、歯提供者のリンパ球における染色体異常のデータと比較すること。

材料と方法 69人の広島被爆者から提供された100本の歯について、歯エナメル質のESR測定を行った。このうち61人については染色体異常の調査も行った。歯科用X線の被曝は主として頬側表面が影響を受けると考えられるので、その影響を評価するために、各歯を頬側部と舌側部に分割して、エナメル質の分離ならびにESR測定を行った。

結果 約20本の歯においては、頬側部の線量の方が舌側部の線量よりもかなり大きな値を示した。しかし頬舌側間で値の異なる例の大半は、門歯と犬歯であった。この結果は、太陽光の被曝によるものと思われる。これに対して、臼歯においては頬舌側間の値は極めてよく一致していた。臼歯の提供者40人のリンパ球を用いた通常法による染色体異常調査の結果、転座頻度とESR推定線量との間に極めてよい相関が認められた。これは、試験管内ガンマ線照射実験結果から期待される線量効果関係とほとんど同じであった。

結論 以上の結果は、歯エナメル質ESRとリンパ球の染色体異常ともに、約半世紀を経た現在においても、急性放射線被曝の個人被曝線量評価に有用であることを示している。