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放影研報告書(RR) 17-97

原爆被爆者の血清総コレステロール値の経時的変化における放射線の影響

Wong FL, 山田美智子, 佐々木英夫, 児玉和紀, 細田 裕
Radiat Res 151:736-46, 1999
要 約
成人健康調査において1958−1986年の28年間にわたり収集されたデータに基づいて、広島と長崎の原爆被爆者の血清総コレステロール(TC)値の経時的変化における放射線の影響について研究した。年齢に伴うTC値の変化をモデル化するために連続した測定値の解析に用いる成長曲線モデルを用いた。男女別に年齢、肥満指数、市ならびに出生年と関連したTC値の経時的変化の特徴が明らかになった。さらに求められたTC値の成長曲線が放射線によってどのように修飾されたかが検討された。平均TC値成長曲線は非被爆者に比べ被爆者で高値を示し、放射線被曝による増加は男性より女性で大きかった。広島と長崎の間では線量反応に差はみられなかった。女性では放射線の影響は全般にみられたが、男性では放射線の影響は1935−1945年生まれの若い出生コホートでのみ明らかであった。被爆者と非被爆者の平均TC値の違いは年齢70歳以上では消失した。この現象が自然経過であるのか、検診の受診率の違いが無作為でないことに起因する人為的なものであるのかは不明である。広島と長崎の女性で、1Gyあたりの予測される最大の増加は、1930年生まれの52歳においてであり、各々 2.5 mg/dl(95% CI: 1.6−3.3 mg/dl)と 2.3 mg/dl(95% CI: 1.5−3.1 mg/dl)であった。同様に男性では1940年生まれの29歳においてであり、1.6 mg/dl(95% CI: 0.4−2.8 mg/dl)と 1.4 mg/dl(95% CI: 0.3−2.6 mg/dl)であった。喫煙の影響を考慮してもTC値と放射線の関係に影響は認められなかった。被爆者群と非被爆者群の平均的成長曲線の差は統計的に有意であったが、両群の成長曲線はかなり重複している。被爆の影響に性差があり、女性で影響が大きいことは放射線被曝によるホルモンの変化があることを示唆する。被爆女性で早期の閉経が起こっているかなどの研究はTC値の上昇の背景にある仕組みを明らかにするために価値がある。また、被爆に伴うTC値の上昇は被爆者でみられる冠動脈性心疾患の増加について部分的に説明している。