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放影研報告書(RR) 2-98

歯エナメル質ESR線量評価における太陽光の影響

中村 典, Katanic JF, 宮澤忠蔵
J Radiat Res (Tokyo) 39:185-91, 1998
要 約
種々の量の放射線に被曝した原爆被爆者からの98本の歯についての電子スピン共鳴(ESR)の測定結果を、歯の種類別に太陽光の影響に関して解析した。各歯は頬側部と舌側部にあらかじめ分割し、別々にESR測定を行った。その結果、頬側部についての線量は、舌側部から得られた線量よりも高いことが明らかになった。すなわち、その差は第一門歯では 0.48±0.30Gy、第二門歯では 0.33±0.38Gy、犬歯では 0.20±0.23Gy、第一小臼歯では 0.24±0.26Gy、第二小臼歯では 0.17±0.51Gy、大臼歯と智歯では 0.04±0.18Gyであった。このような口腔内の歯の位置が奥になるほど頬舌側間の差が明瞭に減少する傾向は、これが太陽光の影響によるものであることを示している。同一人由来の複数の歯の舌側値を比較したところ、第一門歯の舌側部も 0.34±0.18Gyの過大評価になっていることが示唆された(5人の平均)。以上の結果から、第一門歯の口唇部(頬側部)は平均約0.8Gyもの過大評価になっていると思われる。従って、生物学的線量評価のためには、前歯の使用には特別の配慮が必要である。ESRによる線量評価に際して、いかにして太陽光の寄与を推定できるかについて考察する。