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放影研報告書(RR) 6-98

変異p53:メチル化誘発を介するT細胞受容体のエピジェネティック・ミューテーター

Iwamoto KS, 水野照美, 瀬山敏雄, 京泉誠之
Mol Carcinog 25:113-21, 1999
要 約
ヒト発癌過程におけるエピジェネティックな変化の機構やその効果については、癌においてしばしばその遺伝子上のメチル化の状態に変化が見られるということを除いて、あまりよく理解されていない。付け加えると、進行性のT細胞白血病やリンパ腫を含むヒトの癌には高い頻度で p53突然変異があり、それらの多くは新しい機能を獲得した蛋白質ではないかという可能性を生じさせるミスセンス変異であるが、新しい蛋白質の癌遺伝子的な機能については機構的にははっきりしていない。進行性の、あるいは再発したT細胞白血病において p53癌抑制遺伝子変異が高い頻度で発生していることの背景にある機構を調べるために、我々は、温度感受性のある変異 p53を、p53蛋白質のないJurkat細胞にトランスフェクトした。我々は、この変異 p53が、T細胞抗原受容体(TCR)βC1およびβC2を含む TCR β鎖遺伝子のエンハンサー領域DNAの5'の少なくとも20kbの領域のメチル化に作用することによって、TCRの発現を消失させるということを示した。TCRの発現は温度が32℃に下がると回復し、その温度で変異p53は野生型の機能を再び獲得する。TCRはT細胞悪性腫で機能消失している共通の部位であり、T細胞の活性化および活性化に伴うアポトーシスの両方を調節している主要なシグナル伝達分子である。これらの結果は、p53、メチル化そして転写抑制を橋渡しする、エピジェネティック・ミューテーターとしての変異 p53の新しい役割を示唆しており、また、免疫抑制や癌の進行における新しい機構を示唆している。