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放影研報告書(RR) 5-99

突然変異赤血球の解析による造血幹細胞分裂のモデル化

Vickers M, Brown GC, Cologne JB, 京泉誠之
Br J Haematol 110:54-62, 2000
要 約
フローサイトメトリーにより測定された752人の成人と49人の新生児のグリコフォリンA遺伝子座における突然変異赤血球数に関するデータを報告する。分散は年齢と共に、平均値におけるほぼ直線的な増加よりも急速に増えている。この不一致は、1個の突然変異幹細胞の分裂の結果として0個、1個、あるいは2個の幹細胞を生じる非対称的幹細胞分裂の既知の性質によって説明できると仮定される。数学的解析によりこの過程は、幹細胞の数、平均分裂率、分裂当たりの突然変異率という三つのパラメータで記述できる。これらのパラメータの値はここで示されたデータからは演繹できない。しかしながら、他の資料から幹細胞数あるいは突然変異率を推定すると、他の二つのパラメータの演繹は可能である。一生涯の幹細胞当たりの平均分裂数は約70と推定された。従って、この解析は血液細胞の年齢によるテロメア短縮率が幹細胞分裂の直接の尺度となることを意味している。さらに、この低い値は、器官形成を含む発生初期の突然変異が幹細胞起源の悪性腫瘍の形成開始に比較的重要であることを意味していると言える。最後に、ヒトの一生涯の幹細胞分裂数はより寿命の短い哺乳類の値に近く、この数が老化過程に重要であることを示唆している。