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放影研報告書(RR) 22-99

X線照射によりATM遺伝子の発現は、Ataxia-telangiectasia遺伝子の正常なリンパ球細胞株ではアップレギュレートされるが、ヘテロやホモの遺伝型を示す細胞株ではそのような変化は示さない

平井裕子, 林 奉権, 久保美子, 法喜ゆう子, 有田 泉, 巽 紘一, 瀬山敏雄
Jpn J Cancer Res 92:710-7, 2001
要 約
Ataxia-telangiectasia(AT)は、常染色体劣性遺伝病である。その原因遺伝子がクローニングされ、ATMと命名された。我々は、正常人(ATM+/+)、ATヘテロ保因者(ATM+/-)、AT患者(ATM-/-)各々に由来のEBV(Epstein-Barr virus)でトランスフォームしたリンパ球細胞株(LCL)に、X線を照射しない時と照射した時のATM mRNAおよびATM蛋白質の発現を調べた。ATM+/+ LCLにおいては、10 GyのX線照射後、ATM mRNAのレベルが1時間以内に約1.5倍に増加し、ATM蛋白質量は2−3時間で1.5−2.0倍に増加した。その後、mRNAと蛋白質は共に短時間のうちに元のレベルに戻った。しかしながら、ATM+/- LCLでは結果が全く異なっていた。すなわち、X線照射後もmRNAと蛋白質のレベルに増加は認められなかった。我々が使用したATM-/- LCLの変異では、12株がtruncateした変異を示した。TruncateしたATM蛋白質は不安定で、western blot法で検出するのは困難なように思われた。しかしながら、ATM-/- LCLのうち5株は、正常なATM蛋白質と分子量の等しい変異蛋白質を発現した。これら5株中の3株にX線を照射すると、変異ATM遺伝子の転写や変異蛋白質の発現はやや減少するようであった。これらの結果は、正常なATM遺伝子は放射線照射によりその転写活性がアップレギュレートされるが、我々が調べた変異ATM遺伝子では、このような反応ができないことを示唆している。