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成人健康調査 第4報

TR番号 20-63
ABCC−予研 成人健康調査:第4報 1960−62年診察周期、広島・長崎

Freedman LR, 福島和子, Seigel DG
編集者注:雑誌には掲載されていません。
要 約
この報告書においてABCC−予研成人健康調査から得た資料を紹介する。この調査の目的は、1945年に広島または長崎で被爆した人に放射線の医学的後影響があるかどうかを、臨床検査を通して究明することにある。

第1周期診察は 1958−60年の間に実施された。この報告書はそれに次ぐ 1962年6月30日までの第2周期診察に基づいたものである。

資料については、各対象にみられる臨床所見上の、あるいは疾病発見上の相違を次の点と照らし合わせて考慮した。すなわち、
原爆時の位置および急性放射線障害によって判定された電離放射線の照射程度。

広島または長崎市内にみられる一般的疫学的特徴。
得られた所見それ自体には放射線に起因する影響を十分立証する証拠はなかった。急性放射線障害の既往を持つ 0−1,399mの被爆者(比較群1a)にみられた甲状腺疾患の頻度の増加は他のABCCの調査成績と一致している。比較群1aと他の比較群全員とを比較することによって、その他にも多くの相違が認められた。これらの相違は将来細部にわたって行う特定研究課題の基盤となったが、相違の有意性を最終的に判定するにはこれら特定研究課題の結果を待たねばならない。

統計的に有意な放射線後影響のあるもの(たとえば白血病、骨髄線維症)については、他のABCC−予研調査研究では発見されてきたが、今回の解析において発見されなかった主要な理由は、これらの疾患が他の調査できわめて低率で発見されていて、本臨床調査集団の規模ではこれらを発見するには十分でないからである。今後、診断例(死亡も含む)の数が集まれば、比較的まれなこれら疾患の解析に大きく資するであろう。

この医学的観察調査は、広島・長崎の市民多数について行われているので、公衆衛生・福祉に重要な関係を持つ疾病に関する資料の収集に前例のない機会を提供するものである。疾患によっては、広島と長崎とでは有病率および発生率に相違があった。たとえば、結核、消化器の新生物、胃潰瘍、甲状腺疾患、糖尿病、血液疾患、動脈硬化症は広島の方が多かった。他方、梅毒、脳血管障害、腸内寄生虫症、肝臓および腎臓疾患、関節炎は長崎の方が多かった。

血液学的検査資料によると、男性では加齢とともに血色素値およびヘマトクリット値が減少することが認められる。男女ともに総白血球数は加齢とともに減少し、また男性の白血球数は女性よりも高かった。総白血球数は広島の方が長崎より高かった。

両市間の相違を一層明確にし、究明するため、引き続いて多くの疫学的研究課題を成人健康調査の枠内に編入することが必要である。これらの特定研究課題は、放射線影響の研究および主要疾病の理解のためにより正確な基盤を築くであろうことは疑いない。

最後に、前述の調査には異なった2国の科学者が携わるので、日本で発見された疾病の様相は必然的に、米国での個人的な経験や発表論文と比較されることになる。医学文献には考えられる2国間の多くの相違が述べられているが、成人健康調査から得た資料によってこれらが確認されることもあろうし、また否定されることもありうる。
編集者注:本報の次の部分は、伝染性疾病頻度、アレルギー、悪性腫瘍、および公衆衛生の観点から興味深い他の多くの症状に関するデータを含む。

挿入図表一覧

  1. 暫定連絡成績:診察周期・連絡区分別分布
  2. 特定の対象者に関する連絡成績の概要:診察周期・都市・性別
  3. 1960−62年周期の連絡成績の概要:比較群・都市・性別
  4. 受診者の数と百分率:診察周期・都市・性・年齢別
  5. 1960−62年診察周期の分布:比較群・都市・性・年齢別
  6. 比較群1aにおける診断の総括:都市・性・年齢別
  7. 特定の診断の総括:都市・性・年齢別
  8. 特定疾患の有病率:都市・性・年齢別
  9. 特定の新生物の人口100,000人当りの年齢訂正発病率
  10. 暫定連絡成績:診察周期・連絡区分・都市・性別
  11. 1958−60年および1960−62年診察周期における血色素量の平均値とその差:都市・性・比較群別
  12. 1958−60年および1960−62年診察周期におけるヘマトクリット値の平均値とその差:都市・性・比較群別
  13. 1958−60年および1960−62年診察周期における白血球数の平均値とその差:都市・性・比較群別
  14. 1960−62年診察周期における白血球数と被検者数:都市・性・比較群別
  15. 1960−62年診察周期における好中球百分率:白血球数・都市・性・比較群別
  16. 1960−62年診察周期におけるリンパ球百分率:白血球数・都市・性・比較群別
  17. 1960−62年診察周期における単球百分率:白血球数・都市・性・比較群別
  18. 1960−62年診察周期における好酸球百分率:白血球数・都市・性・比較群別
  19. 1960−62年診察周期における好塩基球百分率:白血球数・都市・性・比較群別
  20. 1958−60年および1960−62年診察周期における蛋白尿百分率:比較群別、男性+女性
  21. 1958−60年および1960−62年診察周期における糖尿百分率:都市・性・比較群別
  22. 1960−62年診察周期における血尿百分率:都市・性・比較群別
  23. 1960−62年診察周期における便の潜血反応百分率:都市・性・比較群別
  24. 1960−62年診察周期における便の寄生虫または虫卵の百分率:都市・性・比較群別
  25. 1958−60年および1960−62年診察周期における収縮期血圧の平均値とその差:都市・性・比較群別
  26. 1958−60年および1960−62年診察周期における拡張期血圧の平均値とその差:都市・性・比較群別
  27. 1960−62年診察周期における主要診断の有病率:都市・性・比較群別
  28. 1960−62年診察周期における主要診断の発生率:都市・性・比較群別
  29. 特定の検査資料のT-検定における確率−比較群別に比較群の合計との比較
  30. 1a群の発生率または有病率が比較群中最高または最低だった診断名およびT-検定結果
  31. 特定の検査資料のT-検定における確率−都市間、男女間、年齢間の比較
  32. 特定疾患の発生率のT-検定における確率−都市間、男女間、年齢間の比較
  33. 特定疾患の有病率のT-検定における確率−都市間、男女間、年齢間の比較
  34. 1958−60年および1960−62年診察周期間の差異のT-検定における確率
  35. ABO血液型の百分率分布:都市・性・年齢または比較群別

  1. 爆心地からの距離別のガンマー線および中性子の推定空中線量
  2. 遮蔽区分別百分率:性・都市・爆心地からの距離別
  3. 急性放射線障害のあった人の百分率:都市・爆心地からの距離別
  4. 急性放射線障害のあった人の百分率:T57線量・都市別
  5. 急性放射線障害のあった人の百分率:T57線量・年齢・都市別
  6. 血色素量、ヘマトクリット値、総白血球数:診察周期・都市・性・年齢別
  7. 好中球、リンパ球、単球の百分率:総白血球数・都市・性・年齢別
  8. 好酸球、好塩基球の百分率:総白血球数・都市・性・年齢別
  9. 血圧値:診察周期・都市・性・年齢別
  10. 呼吸器系の結核と梅毒およびその続発症:都市・性・年齢別
  11. 消化器および腹膜の悪性新生物、急性上気道感染および甲状腺の疾患:都市・性・年齢別
  12. 糖尿病および中枢神経系の血管損傷:都市・性・年齢別
  13. 動脈硬化性および変性性心臓疾患と高血圧性心臓疾患:都市・性・年齢別
  14. その他の高血圧性疾患および動脈の疾患:都市・性・年齢別
  15. 気管支炎と胃および十二指腸の疾患:都市・性・年齢別
  16. 肝臓、胆嚢および膵臓の疾患と関節炎およびリウマチ:都市・性・年齢別
  17. リウマチ様関節炎と不慮の事故、中毒および暴力:都市・性・年齢別
  18. 日本人および米国白人における悪性新生物の年齢訂正死亡率の比較