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解説・総説シリーズ(CR) 4-09

脂肪肝の発生率と予測因子

恒任 章, 飛田あゆみ, 世羅至子, 今泉美彩, 市丸晋一郎, 中島栄二, 瀬戸信二, 前村浩二, 赤星正純
Hypertension Research 2010 (Jun); 33(6):638-43
要 約
脂肪肝は虚血性心疾患の予測因子であるが、脂肪肝自体の発生率と予測因子の調査研究が必要である。この研究の目的は、脂肪肝の発生率と予測因子を明らかにすることである。1990年11月から1992年10月までの基礎調査期間において脂肪肝のなかった長崎原爆被爆者1,635人(男性606人)を、腹部超音波検査で2007年まで2年ごとに追跡した(平均追跡期間11.6±4.6年)。予測因子の検討にはCox比例ハザードモデルを、縦断的検討にはWilcoxon順位和検定を用いた。追跡期間中に新たに脂肪肝と診断されたのは、323人(男性124人)であった。発生率は19.9/1,000人年(男性22.3、女性18.6)で、50歳代が最高であった。年齢、性、喫煙および飲酒習慣を調整した検討では、肥満(相対リスク[RR] 2.93、95%信頼区間[CI] 2.33-3.69、P < 0.001)、低HDLコレステロール血症(RR 1.87、95% CI 1.42-2.47、P < 0.001)、高中性脂肪血症(RR 2.49、95% CI 1.96-3.15、P < 0.001)、耐糖能障害(RR 1.51、95% CI 1.09-2.10、P = 0.013)、高血圧(RR 1.63、95% CI 1.30-2.04、P < 0.001)が脂肪肝の予測因子であった。すべての項目を含めた多変量解析では、肥満(RR 2.55、95% CI 1.93-3.38、P < 0.001)、高中性脂肪血症(RR 1.92、95% CI 1.41-2.62、 P < 0.001)、高血圧(RR 1.31、95% CI 1.01-1.71、P = 0.046)が予測因子であった。脂肪肝発症例では、肥満度(body mass index)と血清中性脂肪値が診断時までに有意に序々に増加していたが、収縮期血圧と拡張期血圧にそのような変化は認められなかった。肥満、高中性脂肪血症および高血圧が脂肪肝発症の予測因子である可能性があるが、肥満と高中性脂肪血症がより強く脂肪肝発症に関係しているのかもしれない。