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解説・総説シリーズ(CR) 2-91

死亡診断書の誤りが癌死亡率の傾向に及ぼす影響

Ron E,Hoel DG,Carter RL,馬淵清彦
J Natl Cancer Inst 85(13):1063-8, 1993
要 約
この数年間、死亡診断書に基づいて、癌の死亡率が近年増加していることを示唆する報告がいくつかあった。死亡診断書の誤りが、癌死亡率の動向に与える影響を調べるため、我々は、広島、長崎の原爆傷害調査委員会・放射線影響研究所剖検プログラムからのデータを解析した。この剖検は、1961−87年の期間に剖検が行われた 5,886例を含むものである。我々は、死亡率増加の報告がされているリンパ腫、乳癌、脳腫瘍、多発性骨髄腫および黒色腫(合計172例)に焦点をしぼって解析した。これら172例の剖検例を「対象癌」と呼ぶ。「対象癌」の発見率に有意な増加がみられたが、これは主に 1976−87年の期間における死亡率の大幅な上昇によるものであった。胃および肺を除く他の癌(「その他の癌」)のパターンは、「対象癌」にみられたものと同様であったが、経時的な変動は統計的に有意ではなかった。確認率は一般に、「対象癌」を除いて、時間の経過とともに上昇した。

死亡診断書の誤りに由来する死亡率の偏りと、死亡診断書に基づく死亡率の過小評価または過大評価の程度を数量化する方法として、訂正因子(確認率÷発見率)を算出した。訂正因子が高ければ高いほど、届出不足を補う必要性が高い。「対象癌」について、訂正因子は顕著な減少を示したが、「その他の癌」については、変化は有意でなかった。「対象癌」と「その他の癌」についての訂正因子を比較したところ、統計的に有意な差が認められた。更に重要なことに、癌の種類と年代との間に有意な相互関係がみられた。我々の所見は、癌の人口動態統計における経時的変化を解釈するにあたっては、相当の注意を要することを示すものである。