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解説・総説シリーズ(CR) 3-91

原爆被爆者における癌発生率.第1部:発生率調査における広島・長崎腫瘍登録の利用

馬淵清彦,早田みどり,Ron E,徳永正義,落久保幸夫,杉本純雄,池田高良,寺崎昌幸,Preston DL,Thompson DE
Radiat Res 137S:1-16, 1994
要 約
30年以上前に、一般人口集団を基盤とした腫瘍登録が広島および長崎で設定された。癌発生率に関する一連の報告書の最初のものとなる本報では、腫瘍登録の方法論的側面を説明し、原爆被爆者の主要調査集団である寿命調査(LSS)集団におけるデータの質的問題について検討する。広島および長崎の腫瘍登録の特徴は、両地域の病院の医療記録の採録に基づいて積極的な症例確認に努めていることである。これに加えて、両市で行われている組織登録や今までに行われた被爆者についての数々の臨床的、病理学的プログラムによりデータがより豊富になっている。データの質に関する通常の測定方法を用いた場合、広島および長崎の腫瘍登録における死亡診断書のみによる診断の割合は 9%以下、死亡率/発生率比は 約50%、組織学的確認率が 70%以上である。この結果、本登録は日本で最も優れた腫瘍登録の一つであり、世界の数多くの著名な登録の成績にも匹敵するものとなっている。LSS集団に関する全腫瘍登録データは、標準化した手順に基づき、その質と均一性に特別な注意を払って、集計、検討、処理を行った。LSS集団における腫瘍発生率データの質を評価するため、特別調査および監視プログラムも導入した。発生率データの質を検討するため、データ全体についても、また、リスク評価に利用される年齢、時間、放射線量群などの各区分別にも解析を行った。各指標で表されるデータの質と放射線量との間に有意な関係は認められなかった。これらの知見は、腫瘍登録を基盤にした現行データを、原爆被爆者における癌発生率調査に利用することを支持するものである。