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解説・総説シリーズ(CR) 3-92

チェルノブイリ原発事故による放射性フォールアウト被曝を免れたウクライナ人に観察された多発変性染色体異常リンパ球:この異常現象の発癌、催奇形、および突然変異発生に果たしうる役割

Neel JV,阿波章夫,児玉喜明,中野美満子,馬淵清彦
Proc Natl Acad Sci USA 89:6973-7, 1992
要 約
ウクライナ共和国の Krasilovka という村落は、チェルノブイリ原発事故の放射性フォールアウトによる汚染が無かったために放射線の影響はほとんど認められてはいないが、住民 24人中の 8人から得られた血液標本の培養リンパ球に、極端に変性した多発染色体異常細胞(rogue細胞)が観察された。この村落よりも放射性物質にもっと汚染されたロシア国内の他の 2か所から選んだ 24人の血液標本には、そのような染色体異常は認められなかった。これは、これら異常細胞の出現が汎世界的な現象であることを確かめる結果となった。本調査研究およびこれまでに発表された文献の検討から、多発変性染色体異常細胞は互いに関連の無い種々のヒト集団内の個々の人に、同時に、かつ瞬時に発現することが分かった。このパターンは直接的または間接的に作用するウイルス性の引き金の作用に一致したものである、ということが示唆される。間接的な作用の場合、おそらくは潜在性染色体レトロポゾンの活性化によって発現する可能性が考えられる。もしこの現象が他の組織に生じるならば、その発癌、催奇形、突然変異発現および進化などに重要な意味を持つものと考えられる。