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解説・総説シリーズ(CR) 1-97

原爆胎内被爆者の放射線に関連する脳障害および発育遅滞の検討

大竹正徳、Schull WJ
Int J Radiat Biol 74(2):159-71, 1998
要 約
胎児期の電離放射線被曝については発達中のヒトの脳に有害な影響をもたらすことが広島・長崎原爆胎内被爆者に関する多くの研究から明らかにされている。胎内被爆者の重度精神遅滞の発現や知能指数(IQ)および学業成績の変化に関するデータ評価から、排卵後 8−15週齢と 16−25週齢の被爆者に、著しい影響を認めている。特に急発原因のない痙攣発作に関する調査でも排卵後 8−15週齢群に放射線の影響が認められる。これらの異常を誘発する生物学的根拠についてはなお不明である。しかしながら、精神遅滞生存者の脳の磁気共鳴画像診断による所見結果ではニューロン移動の異常性を示唆する異所性灰白質の大きな領域が認められる。放射線は精神遅滞と同時に小頭症も誘発し得る。更に、小頭囲と身長、体重、座高および胸囲のような身体計測値との関係について検討した結果でも、小頭囲者の身体計測値が正常頭囲者よりも低くなっており、放射線関連小頭囲が一般的な発育遅滞によるものであることを示唆している。最後に、これらの影響の1つ以上の発現に関するしきい値問題には研究上でも規制面からも重大な不確定性が残存している。データの簡単な検査はしきい値の存在を示唆するが、精神遅滞の場合を除くとこれを支持する統計的証拠はほとんどない。