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寿命調査 第12報 第1部

RR番号 11-95
原爆被爆者の死亡率調査:第12報 第1部 癌:1950−1990年

Pierce DA, 清水由紀子, Preston DL, Vaeth M, 馬淵清彦
Radiat Res 146:1-27, 1996
要 約
本報は、放射線影響研究所により追跡調査が行われている原爆被爆者集団の癌死亡率に関する定期的な報告書シリーズの最新版である。追跡期間を 1986−1990年の5年間延長し、最近放射線被曝線量推定値が得られた 10,500人の被爆者を新たに解析対象として加えた。これにより、約550,000人年が追加された。解析対象者は 86,572人であり、このうち 約60%は線量推定値が少なくとも 0.005Svである。1950−1990年間の癌死亡は、0.005Sv未満、0.005Sv以上で、それぞれ 3,086人、4,741人であった。これらのうち、過剰癌死亡は、約420人と推定され、そのうち 約85人は白血病によるものと推定された。白血病以外の癌(固形癌)については、1950−1990年間の過剰死亡の 約25%が、最近の 5年間で起こっていた。また、被爆時子供であった人については、過剰死亡の 約50%が最近の 5年間で起こっていた。白血病の過剰死亡については、1950−1990年間の過剰死亡のうち、わずか 3%程度が最近の5年間で起こっていた。過剰白血病死亡の大部分は被爆後最初の 15年間に発生したが、固形癌については、過剰リスクのパターンは自然年齢別癌リスクの生涯にわたる上昇パターンに類似している。

追跡期間が延長されたのを利用して、過剰癌リスクの経時的パターンにこれまで以上に注目した。この経時的パターンを、相対過剰リスクのみでなく、絶対過剰リスクの観点からも説明することに重点を置いた。例えば、a)被爆時子供であった人の過剰相対リスクは、年々減少する傾向が明らかになりつつあるが、過剰絶対リスクは年々増加している。b)同じ年齢でも、過剰相対リスクは、性、被爆時年齢により異なるが、年齢別の過剰絶対リスクは、これらによる差はほとんどない。過剰リスクの主な推定値を性および被爆時年齢別に示す。この推定値には、この集団の線量別生涯リスク推定値も含まれる。被爆時年齢 30歳の場合、1Sv当たりの固形癌過剰生涯リスクは、男性が 0.10、女性が 0.14と推定される。被爆時年齢50歳の人のリスクはこの約3分の1である。被爆時年齢10歳の人の生涯リスク推定値はこれらよりも不明確である。妥当な仮定の範囲では、この年齢群の推定値は被爆時年齢 30歳の人の推定値の 約1.0倍 から 1.8倍 の範囲になる。白血病の場合には、被爆時年齢 10歳 あるいは 30歳 の人の1Sv当たりの過剰生涯リスクは男性が 約0.015、女性が 約0.008と推定される。被爆時年齢50歳の人のリスクは 10歳 あるいは 30歳 の人の約3分の2である。固形癌の過剰リスクは 約3Svまで線形を示すが、白血病の場合、線量反応が非線形を示し、0.1Svにおけるリスクは 1.0Svでのリスクの 約20分の1 と推定される。部位別リスク推定値を示したが、部位別リスクの違いの大部分は推定値の不正確さにより簡単に説明できるので、解釈に当たっては慎重を期する必要がある。