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寿命調査 第11報 第3部

TR番号 2-91
寿命調査:第11報 第3部 改訂被曝線量(DS86)に基づく癌以外の死因による死亡率、1950−85年

清水由紀子, 加藤寛夫, Schull WJ, Hoel DG
編集者注:この報告書に基づく論文は、下記の学術雑誌に掲載されています。
  • Shimizu Y, Kato H, Schull WJ, Hoel DG: Studies of the mortality of A-bomb survivors. 9. Mortality, 1950-1985: Part 3. Noncancer mortality based on the revised doses (DS86). Radiat Res 130:249-66, 1992
  • 要 約
    寿命調査対象集団における1950−85年の死亡調査を行い、改訂被曝線量(DS86線量)と癌死亡率の関連については、すでに別に報告した(寿命調査第11報,第1部および第2部)。本報告では癌以外の死因による死亡について被曝線量との関連を調べた。

    まだ限られた根拠しかないが、高線量域(2または3Gy以上)において癌以外の疾患による死亡リスクの過剰があるように思われる。統計学的にみると、二次モデルまたは線形−閾値モデル(推定閾値線量1.4Gy[0.6−2.8Gy])のほうが、単純な線形−二次モデルよりもよく当てはまる。癌以外の疾患による死亡率のこのような増加は、一般的に1965年以降で若年被爆群(被爆時年齢40歳以下)において認められ、若年被爆者の感受性が高いことを示唆している。死因別にみると、循環器および消化器系疾患について、高線量域(2Gy以上)で相対リスクの過剰が認められる。しかし、この相対リスクは癌の場合よりもはるかに小さい。

    これらの所見は、死亡診断書に基づいているので信頼性には限界がある。おそらく最も重要な問題は、放射線誘発癌が他の死因に誤って分類される可能性があることである。高線量域で癌以外の死因による死亡が増加していることは明白だが、どれだけこの誤りに起因するのかを明確かつ厳密に推定することは現在のところむずかしい。しかしながら、死因の分類の誤りだけで、この増加を完全には説明できないように思われる。

    高線量を被曝した被爆者において癌以外の死因による死亡が増加しているという傾向を確認し、更に、そのような死亡増加が寿命短縮をもたらしているかどうかを明らかにするためには、寿命調査対象の部分集団(成人健康調査対象)について2年に1回行う検診で確認される疾患、および寿命調査対象の死亡率に関して追跡調査を更に行うことが必要であろう。
    編集者注:本報の次の部分は、伝染性疾病頻度、アレルギー、悪性腫瘍、および公衆衛生の観点から興味深い他の多くの症状に関するデータを含む。

    挿入図表一覧

    1. 1986年線量推定体系(DS86)部分集団対象者75,991人における死因別死亡者数(1950-85年)
    2. 新生物および血液疾患以外のすべての疾患による死亡の(0Gyに対する)相対リスク、1950-85年
    3. 新生物および血液疾患以外のすべての疾患による死亡の(0Gyに対する)相対リスク、1950-85年、被爆時年齢および期間別(両市および男女合計)
    4. 回帰係数の期間別変化
    5. 主要死因による死亡者数および(0Gyに対する)死亡相対リスク、1950-85年(両市および男女合計)
    6. 被爆時年齢40歳未満の人の主要死因による死亡者数および(0Gyに対する)死亡相対リスク、1966-85年(両市および男女合計)
    7. 閾値線量を1.4Gyと想定した線形閾値モデルに基づく新生物および血液疾患以外のすべての疾患による死亡リスク推定値
    8. 被爆線量2Gy以上(平均線量 = 3.3Gy)の被爆者における(年で示した)寿命損失の推定
    9. 死亡診断書に基づく癌以外の疾患症例の剖検結果、新生物および血液疾患以外のすべての疾患
    10. 死亡診断書で癌以外の疾患が原因であるとされていた死亡における 剖検診断に基づく癌死亡の割合
    11. 癌以外の死亡の過剰がないと想定した場合の放射線誘発癌の誤診断にのみ基づく癌以外の疾患による死亡の相対リスク
    付表
    1. 死因別死亡数
    2. A.観察人年数、男女合計
      B.観察人年数、男性
      C.観察人年数、女性
    3. A.新生物および血液疾患以外のすべての疾患による死亡数、男女合計
      B.新生物および血液疾患以外のすべての疾患による死亡数、男性
      C.新生物および血液疾患以外のすべての疾患による死亡数、女性
    4. A.感染性疾患による死亡数、男女合計
      B.感染性疾患による死亡数、男性
      C.感染性疾患による死亡数、女性
    5. A.循環器疾患による死亡数、男女合計
      B.循環器疾患による死亡数、男性
      C.循環器疾患による死亡数、女性
    6. A.呼吸器疾患による死亡数、男女合計
      B.呼吸器疾患による死亡数、男性
      C.呼吸器疾患による死亡数、女性
    7. A.消化器疾患による死亡数、男女合計
      B.消化器疾患による死亡数、男性
      C.消化器疾患による死亡数、女性
    8. A.その他の疾患による死亡数、男女合計
      B.その他の疾患による死亡数、男性
      C.その他の疾患による死亡数、女性
    9. 被爆者時年齢40歳以上の人についての線形二次モデルの回帰係数、期間別
    10. 新生物および血液疾患以外のすべての疾患についての回帰モデルの推定係数
    11. 種々の死因についての回帰モデルの推定係数
    12. 血液および造血臓器の疾患によるものと確認された死亡例の血液学的検討結果、1950-82年
    13. 死因の正確性、癌以外の疾患による死亡 1950-85年
    14. 被曝線量線量が2Gy以上で、成人健康調査 (AHS) を受診した人における、臨床診断により確認された死亡の割合
    15. 成人健康調査 (AHS) 対象者における死亡診断書による肝硬変の確認、広島
    16. A.死因および剖検診断の比較:新生物および血液疾患以外の全疾患
      B.死因および剖検診断の比較:心疾患
      C.死因および剖検診断の比較:肝硬変
      D.死因および剖検診断の比較:循環器疾患
      E.死因および剖検診断の比較:冠状動脈性心疾患
      F.死因および剖検診断の比較:脳卒中
    17. A.癌以外の疾患による死亡例中、広島・長崎腫瘍登録で報告された癌症例の数および割合、放射線量別
      B.死亡診断書で癌以外の疾患が死因と記載された死亡例中、広島・長崎腫瘍登録で報告された癌症例の数および割合、死因別
    18. A.病院での死亡の割合 (%)、放射線量、被爆時年齢、期間および死因別
      B.1Gyにおける主要な死因による死亡の相対リスク、死亡場所別
      C.死亡診断書上の死因の正確性、死亡場所別
      D.死亡場所訂正後の放射線影響