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寿命調査 第1報

TR番号 5-61
原子爆弾被爆生存者の寿命調査:第1報 医学調査サブサンプルにおける死亡率と研究方法の概略、1950年10月−1958年6月

Beebe GW, 石田保広, Jablon S
編集者注:この報告書に基づく論文は、下記の学術雑誌に掲載されています。
  • Beebe GW, Ishida M, Jablon S: Studies of the mortality of A-bomb survivors. 1. Plan of study and mortality in the medical subsample (Selection 1), 1950-1958. Radiat Res 16:253-80, 1962
  • Beebe GW, 石田保広, Jablon S: 原爆被爆生存者の寿命調査。第1報。ABCC医学調査の対象者における死亡率と研究方法の概略、1950年10月−1958年6月。広島医学 15:1397-422, 1962
  • 要 約
    寿命調査は広島、長崎の原子爆弾被爆者が受けた放射線および外傷の死亡率に及ぼす後影響を調べるために企画されたものである。サンプルは爆心地からの近距離被爆者、受けた線量が無視できる遠距離被爆者および両市へ転入してきた非被爆者からなり、総数は 100,000名である。被爆者は 昭和25年国勢調査の付帯調査から抽出し、非被爆者コントロールの抽出にはABCCが実施した抽出人口調査、1950年国勢調査にもとづいたリスト(長崎)および広島の 1953年昼間人口調査を用いた。したがって 1950−53年にかけて作成した名簿からサンプルを抽出したことになるが、まず1950年からの死亡調査にコントロールとして役立つと思う。

    フォローアップ(Follow-up)を徹底的に実施した。抽出したサンプルのうち、生死が不明なものは極く一部に過ぎない。本調査は厚生省の協力のもとに実施している。本調査の解析に用いた資料は厚生省との間に結ばれた協定にもとづき、日本の公式届出制度を通じて入手している。生死はまず戸籍簿から知る。死因の詳細は、日本全国の死亡解析の基礎資料である人口動態死亡調査票、すなわち死亡診断書の摘要から知ることができる。

    まず最初に、ABCC成人健康調査のために 20,000名からなるサンプルが作られた。今回の報告はこのサンプル(第1次抽出群)における死亡を解析したものである。また本論文では方法論に重点をおいて解析を行った。また各被爆群間の死亡を全死因、主な特定死因、およびおおまかに分類した死亡について比較した。

    非被爆者の死亡率は被爆者あるいは日本全国の平均と比較して異常に低いことが注目された。このことは、非被爆者が少なくとも今回の調査期間では対照として不適当であることを意味している。非被爆者群では特に結核および癌の死亡者が少ない。非被爆者は明白に、あるいは潜在的に医学的選択を受けていることが今回の資料からうかがえる。また少なくとも癌で観察した、観察期間後期の差は、前期に比較してはるかに重要性が少ないように思われた。したがって、今回の報告では放射線の影響を検討するにあたって、非被爆者は考慮せず異なった距離の被爆者間の比較をすることとした。将来は、サンプルの選択の影響が減少し、非被爆群もコントロールとして十分使用できるようになると思う。

    多量の放射線を受けた群の死亡率が特に高いという所見は観察できなかった。死因別に死亡率をみると、放射線が白血病を誘発するという既知の知見は本調査からも明らかにできたが、その他の死因について放射線の影響をみとめることができなかった。貧血では影響があったように見えたが、これは血液病の診断が困難なためにおきたものと思われる。白血病が貧血の中に分類されていたことからも明らかである。もちろん、放射線が造血器に作用したために、白血病以外にも変化が起きるという可能性もある。

    現在もっと大規模な資料について調査を強力に実施中である。
    編集者注:本報の次の部分は、伝染性疾病頻度、アレルギー、悪性腫瘍、および公衆衛生の観点から興味深い他の多くの症状に関するデータを含む。
    挿入図表一覧

    1. 死亡調査サンプルの予定数
    2. 医学調査のためのサンプル、性、被爆区分別。広島、長崎
    3. 観察死亡数と日本全国平均死亡率から計算した期待死亡数との比較、被爆区分別。医学調査サブサンプル。広島、長崎
    4. 性、年齢別、被爆区分別、医学調査サブサンプル数、死亡数と百分率。広島、長崎
    5. 年次別、死亡数、被爆区分別、医学調査サブサンプル。広島、長崎
    6. 野外および軽遮蔽の被爆者の死亡数と百分率、性、年齢、爆心地からの距離別
    7. 死因別観察死亡数と期待死亡数、医学調査サブサンプル。広島、長崎
    8. 特定死因別死亡数、被爆区分別、医学調査サブサンプル数。広島、長崎
    9. 白血病罹患率と死亡数、寿命調査と白血病調査との比較、爆心地からの距離別。広島、長崎
    10. 特定部位の悪性腫瘍死亡数、被爆区分別、医学調査サブサンプル。広島、長崎の合計
    11. 死亡診断書にその他の型の貧血(国際統計分類292.4)と記載された死亡例、医学調査サブサンプル。広島、長崎
    12. 早期および後期入市者、死亡数と百分率、年齢、性別、1950−58年。広島、長崎
    13. 年齢別、医学調査サブサンプル、被爆区分別。広島、長崎
    14. 特定職業別百分率、男子、被爆区分別。広島、長崎
    15. 出所別サンプル数、被爆区分別、医学サブサンプル。広島、長崎
    16. 外国居住期間別百分率、男子、被爆区分別。広島
    17. 原爆時の通常居住地別医学サブサンプル数、被爆区分別。広島
    18. 原爆時居住地別、非被爆者の死亡数と百分率、特定年齢階級別、性別、1950−58年医学調査サブサンプル。広島、長崎
    19. 1950年以後の転出の有無別の観察死亡数と期待死亡数、性、被爆非被爆別、1950−58年医学調査サブサンプル。広島、長崎
    20. 10歳年齢階級別、性別、観察死亡数と期待死亡数の比較、1950−58年医学調査サブサンプル。広島、長崎
    21. 原死因、合併症および副死因数、1950−58年医学調査サブサンプル。広島、長崎
    22. 結核が原死因である死亡の副死因と合併症、1950−58年医学調査サブサンプル。広島、長崎
    図1.野外および軽遮蔽別、死亡数(百分率)、年齢、性、爆心地からの距離別