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業績報告書(TR) 20-85

若年被爆者の血清TSH,サイログロブリン,甲状腺疾患:原爆被爆30年後の調査

森本勲夫,吉本泰彦,佐藤賢士,Hamilton HB,河本定久,和泉元衛,長瀧重信
編集者注: この報告書に基づく論文は次に発表された。J Nucl Med 28:1115-22, 1987;広島医学 41:867-74,1988
要 約
広島、長崎両市で被爆時年齢が 20歳未満で 100rad以上の線量に被曝した者について、被爆 30年後の甲状腺疾患の頻度、血清中の甲状腺刺激ホルモン(TSH)、抗サイログロブリン抗体、サイログロブリンについて検索した。甲状腺疾患は 100rad以上被曝群 477名中 56例、0rad被曝群 501名中 39例にみられ、その有病率は 100rad以上被曝群で有意(χ2=3.872、p=0.049)に高い。なおこの上昇は、甲状腺癌と非中毒性甲状腺単結節の発生上昇に基づくものである。甲状腺癌は 8例認められ、すべて 100rad以上被曝群で、その有病率は統計的に有意に高い(χ2=7.919、p=0.005)。非中毒性甲状腺単結節は 100rad以上被曝群で 13例、0rad被曝群で 3例で、100rad以上被曝群が有意に高い(χ2=6.584、p=0.010)。これら疾患において、血清TSHとサイログロブリン値の上昇はみられなかった。甲状腺疾患を有しない者の血清TSHの平均値は 100rad以上被曝群で 1.64±1.89μU/ml(n=421)、0rad被曝群で 1.54±1.86μU/ml(n=462)、血清サイログロブリンの平均値は 100rad以上被曝群で 13.49±13.88ng/ml(n=421)、0rad被曝群で 14.76±15.69ng/ml(n=462)で、両群間に差はなかった。また甲状腺疾患を有し、しかし何ら甲状腺疾患に対する治療を受けてない症例と、甲状腺疾患を有しない対象者の血清TSH及びサイログロブリンの平均値は、100rad以上被曝群と 0rad被曝群の間で有意に異ならなかった。一方、血清TSHとサイログロブリン値の間には 100rad以上被曝群、0rad被曝群、及び両群を合わせた場合にも有意の正の相関があった。