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業績報告書(TR) 1-87

原爆被爆者の赤血球におけるグリコフォリンA遺伝子座の体細胞突然変異頻度

中村 典,秋山實利,京泉誠之,Langlois RG,Bigbee WL,Jensen RH,Bean MA
編集者注: この報告書に基づく論文は次に発表された。Science 236:445-8,1987;広島医学 39:325-9,1986 (第26回 原子爆弾後障害研究会講演集,昭和60年)
要 約
最近開発された体細胞突然変異検出法を用いて、広島の原爆被爆者について調査を行った。この調査では、赤血球前駆細胞における多形性グリコフォリンA(GPA)遺伝子座のヌル型突然変異の結果生じた変異赤血球の頻度を測定した。3種類の異なる変異表現型に関して、変異細胞頻度と被曝線量との間に有意な相関関係が観察された。その自然変異頻度と誘発変異頻度の大きさは、ほかの系の放射線誘発突然変異の結果とよく一致しており、このことは、GPAのヌル型変異細胞が突然変異によるものであることを強く支持している。また、このことは、GPAの系が過去の放射線被曝の集積線量計として利用できるかもしれないことを示唆している。これらの結果は、原爆被爆者では、特定遺伝子座突然変異が高いまま持続しているという最も確定的な事実を示している。被爆者の中には、線量効果関係の平均値から極端にずれた変異細胞頻度を示す人もある。この理由は、恐らく主として幹細胞プールに生じた突然変異細胞数の統計学的なゆらぎに起因するように思われる。このような統計学的なゆらぎの解析により、ヒトにおける長寿命の造血幹細胞の数が推定できる。