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業績報告書(TR) 5-87

多彩な免疫学的異常所見を合併し,悪性組織球症への移行像を示した組織球性肉腫の剖検例

江藤良三,藤井 肇,北村佳子
要 約
臨床検査所見で多彩な免疫学的異常所見を合併し、悪性組織球症へ移行した組織球性肉腫の1剖検例を報告する。 患者は1歳5か月、女児。生後6か月時、軽度の発熱と咳の治療に Amoxycillin の経口投与後、皮疹と呼吸困難をきたした。検査所見において多クローン性高γグロブリン血症、関節リウマチ(RA)反応強陽性、抗平滑筋抗体陽性及び血清中と尿中の少量のM蛋白を示した。一過性にKaposi水痘様発疹に罹患したが、抗ウイルス抗体は陰性であった。呼吸不全により死亡した。臨床的印象は若年性関節リウマチであった。

剖検は死後11時間にて行われた。関節及び諸臓器に慢性関節リウマチないし他の膠原病を支持する病理所見は認められなかった。腫瘍組織は円形の裸核状細胞から成っており、これらの腫瘍組織が両肺、左主気管支、下行結腸及び肝では結節状であった。リンパ節は瀰漫性に侵襲されていたが、脾及び骨髄では浸潤性であった。腫瘍細胞はまれに赤血球貪食像を示した。これらの病理所見は、悪性組織球症への移行を示す組織球性肉腫の診断に一致した。

生前の多彩な免疫学的異常所見は、これらの異常がTγリンパ球の機能不全によると想定すると最もよく説明し得た。赤血球貪食性Tγリンパ腫も疑われたが、腫瘍細胞の表面マーカーに関する必須の免疫学的データが得られていないため、確認し得なかった。