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業績報告書(TR) 9-87

原爆被爆者の線量推定方式の改定による癌死亡リスク推定値への影響

Preston DL,Pierce DA
編集者注: この報告書に基づく論文は次に発表された。Radiat Res 114:437-66, 1988;広島医学 41:1921-43,1988
要 約
広島・長崎原爆放射線量の再評価に関する日米合同委員会は、1986年の春、放射線影響研究所に、作成した新しい線量推定方式を提示した。本報では、新旧の線量推定方式を用いて白血病及び白血病以外の癌の死亡リスク推定値の比較を行う。

総kerma線量(本質的には全身ガンマ線量に中性子線量を加えたもの。以後 kerma を カーマと呼ぶ。)に基づいた2つの型の癌リスク推定値は新線量推定値の方が 約75%〜85%高い。高線量における線量反応の非線形性は総括的な比較の項でも多少考慮している。臓器線量に関する変化及び中性子の生物学的効果比(RBE)に関する種々の仮定を考慮することは重要である。もしRBEを考慮しなければ、線量推定方式の改定により、総臓器線量のリスク推定値は実質的には変化しない。しかし、新線量推定値では中性子の推定値が少なく、RBE値の増加と共に低LET推定リスクは、旧推定値よりも緩やかに減少する。したがって、例えば、RBEを 10と仮定した場合、線量推定値の改定により臓器線量推定リスクは旧線量推定値による推定リスクと比べて白血病以外の癌では 30%、白血病では 80%増加する。RBEを 20とした場合には、推定リスクはそれぞれ 72%、136%増加する。

その他の幾つかの問題についても検討する。都市別線量反応の差異は、新線量推定値では小さく、RBEが1としても、統計学的にもはや有意でない。新線量推定値に基づくRBEの推定は極めて困難である。線形線量反応については、高線量において横ばい状態が見られることから、重大な問題がある。最後に、新線量推定値から得られた生涯リスク推定値と旧線量推定値から求められ、主として放影研データに基づいて広く利用されてきた推定置との比較を示す。