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業績報告書(TR) 17-87

広島・長崎の原爆被爆者におけるLD50:文献的考察と再評価

藤田正一郎,加藤寛夫,Schull WJ
編集者注: この報告書に基づく論文は次に発表された。J Radiat Res (Tokyo) 30:359-81, 1989;J Radiat Res (Tokyo)32S:154-61,1991
要 約
放影研−ABCCが蓄積してきたデータを用いて広島の原爆に関する LD50/60を推定した。推定値の範囲は、使用した推定方法によって多少変動する。DS86骨髄線量を用い、各線量における死亡確率の推定値に等加重で直線を当てはめた場合、この範囲は 2.3〜2.6Gyである。各線量における死亡確率の推定値に、その分散の逆数で加重して直線を当てはめた場合、推定値は多少低く、2.2Gyである。これらの推定値は、第1日目の死亡者、及び第1日目には死亡しなかったが負傷(熱傷、外傷)のため後日死亡した重傷者を含む。ある調査結果に示されているように、これらの群を含めることにより推定値が 約17.5%過小評価されていると考え、LD50/60の範囲を上方に補正すると、推定値は2 .7〜3.1Gyになる。データの性質を考えるとこの範囲が"最良"の推定値と考えられる。

確認の偏り、非線形モデル、競合死因、及び広島のほかの被爆者調査から得られた本パラメータの推定値に関連してこれらの値を考察する。LD50/60は観測値に当てはめた死亡曲線に比較的左右されないことが示されるが、LD95/60の推定はモデルの選択にかなり影響を受ける。また、死亡曲線は、動物実験の結果から予想されるより、傾斜が緩やかである。恐らくこれは、大部分の実験動物に比ベヒトの遺伝的非均質性が大きいこと、放射線に起因する死亡と他の原因、特に熱傷及び外傷による死亡との区別が困難であること、推定線量自体が不正確であることなどを反映しているのであろう。最後に、広島で得られた各推定値は、対象とした被爆者群がそれぞれ異なり、LD50/60の推定方法が調査によって異なるにもかかわらず、驚くほど一致している。