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業績報告書(TR) 1-88

重度の脱毛に関する資料を用いての原爆放射線被曝線量推定方式DS86の解析

Stram DO,水野正一
編集者注: この報告書に基づく論文は次に発表された。Radiat Res 117:93-113,1989
要 約
本報は、放射線被曝急性効果としての重度の脱毛に関する広島・長崎の資料を、新線量推定方式DS86並びに旧線量方式T65Dにより再解析したものである。この報告では、以前 Jablon ら又 Gilbert と Ohara によって検討された点に焦点をおいてデータの解析を行い結果を述べる。本報は被曝線量に伴う脱毛の訴え率の、遮蔽歴間・性・年齢間における整合性を検討し、都市・性・年齢及び遮蔽カテゴリー間における相互作用を検討した。更に、DS86新線量推定方式における中性子線の生物学的効果比を都市間はもとより都市内の情報を用いて解析し、T65D線量における結果と比較した。そしてこの報告書は線量に伴って脱毛の訴え率が明らかに非線形性を示したことを述べる。脱毛の訴え率は、75radあたりから線量に伴って著しく増大し、250radあたりから横ばいとなり、最後には低下傾向を示すという非線形性を示した。

本報の主な結論は次のとおりである。T65Dに代わるDS86線量推定方式の使用は、ガンマ線量に対する中性子線量の生物学的効果比を、おおよそ 5から10へと増大させる。これらの生物学的効果比を用いて、75〜250radの中間線量領域で線量に対する脱毛の訴え率のrad当たりの増加率を検討すると、DS86はT65Dに比べ増加率が 約165%大きくなった。性、都市、及び遮蔽歴間における相互作用に関しては、T65Dを用いたとき見られた非均質性は、DS86においても有意性の程度において同じように認められた。更に言えば、脱毛の訴え率を予測する上で、DS86の方がT65Dに比べてより良いという証拠は見いだすのが困難と思われた。最後に、脱毛の訴え率の非線形性及び高線量での率の下降が見られる現象は、DS86を用いた方がT65Dより顕著であるが、その主な理由は、T65Dでは 600rad以上の値を 600radに置き換えて使用しているからである。