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業績報告書(TR) 2-88

広島電離放射線胎内被曝の学業成績に及ぼす影響。T65DR及びDS86線量推定方式による比較

大竹正徳,Schull WJ,藤越康祝,吉丸博志
編集者注: この報告書に基づく論文は次に発表された。Congenital Anomalies 29:309-20,1989 ; 日本衛生学雑誌 46(3):747-54,1991
要 約
電離放射線の胎芽及び胎児の発達期の脳への影響に関する継続評価の一環として、広島胎内被爆生存者及び妥当な比較対照群の学業成績について検討した。この報告書では、7課目の学業成績の線量別変化を、ABCC−放影研でこれまでに利用したT65DR線量及び1986年に改定された新線量(DS86)に基づいて比較した。

学業成績記録はあるがT65DR線量の不明な者、胎内被爆者でない者、及び学業成績記録のない者は除外した。T65DR集団は重度精神遅滞の臨床診断症例 14例を含む学童 1,090人からなる。そのうち、161人のDS86組織線量についてはまだ算出されていないが、その多くはT65DR線量が 0.10Gy未満である。したがって、DS86標本はT65DR集団のうち学童 929人(85.2%)から成り、この中には前述の重度精神遅滞児14例の全員を含んでいる。

所見は次のように要約できる。すなわち、線量に関する平均学業成績の単純回帰によって検討すると、受胎後8−15週齢胎児の脳への障害は、胎児吸収線量に対して線形関係にあるようである。重度精神遅滞児 14例を除くか否かにかかわらずT65DR及びDS86集団の両方に、同じ線形関係を認める。受胎後16−25週齢群への障害は、受胎後8−15週齢群と同様の所見結果であった。更に、正準相関及び重相関に基づく解析においても、被曝8−15週齢及び16−25週齢に学業成績への高い有意な関係を認める。しかし、この有意な傾向は低学年により強く現れる。受胎後0−7週齢及び受胎後26週齢以上群では、学業成績に対して放射線影響の証拠は認められなかった。これらの結果は、胎内被爆生存者に認められた児童期の標準知能テストの成績所見と類似するものである。