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業績報告書(TR) 18-89

広島と長崎の原爆被爆生存者における急性放射線症状とその後の癌死亡との関係に関する観察

錬石和男,Stram DO,Vaeth M,水野正一,秋葉澄伯
編集者注: この報告書に基づく論文は次に発表された。Radiat Res 125:206-13,1991
要 約
寿命調査は、広島・長崎における原爆被爆者 73,330人の固定集団の追跡調査である。その調査から得られたデータを解析した結果、原爆後 60日以内に脱毛があったと報告されている者では、この急性放射線症状を経験しなかった者に比べ、電離放射線推定被曝線量と白血病死亡率との間に見られる線形の線量反応関係の勾配が 2.5倍も急であると認められた(p<0.001)。一方、白血病を除く癌死亡率における線量反応関係には、脱毛の有無による差はほとんどなかった(p>0.2)。

白血病に関するこの結果には、年齢又は性別による違いはなく、両市で同じであった。この観察結果から、放射線の早期影響を経験した者は、同程度の放射線被曝がありながら脱毛を呈さなかった者に比べ、追跡調査期間中に白血病で死亡する可能性が高かったことが示唆されている。この知見が、困難かつ重要な2つの問題点の間の相互作用といかなる関係を示すかを検討した。すなわち、白血病において線形の線量反応モデルが妥当であるか否か、また、各被爆者の推定被曝線量の決定に用いられている線量計算方式の精度をどの程度と考えるかという問題である。

線量推定の確率誤差が 35%、線量反応が線量の3次の関数関係であると仮定した場合にも、脱毛のあった群における白血病相対的リスクの過剰は 1.89倍も高く、白血病と脱毛との間の関連の検定におけるp値は 0.10の水準でやはり有意であった。同じ3次の関数関係モデルを用いて線量計算の確率誤差が 50%であると仮定した場合、脱毛群における線量反応は、その他の群に比べ 1.58倍であるが、その差は有意でない(p<0.3)。