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業績報告書(TR) 1-90

リボヌクレアーゼによるRNA:DNAデュプレックス中のミスマッチ切断法を用いたクローン化βグロビン遺伝子における塩基欠失・挿入・置換の検出,及び日本人集団におけるβグロビン遺伝子の新しい多型性置換の検出

檜山桂子,小平美江子,佐藤千代子
編集者注: この報告書に基づく論文は次に発表された。Mutat Res 231:219-31,1990
要 約
ヌクレオチド変異型の頻度を測定する場合に、「リボヌクレアーゼによるRNA:DNAデュプレックス中のミスマッチ切断法(RNase cleavage method)」が応用可能であるか否かを日本人集団を用いて検討した。クローン化したヒトの正常 及び 3種のサラセミアβグロビン遺伝子中の異なる4領域から、種々の長さのDNA断片を切り出し、転写ベクターに挿入し、32Pラベルしたセンス及びアンチセンスRNAプローブを作製した。771ヌクレオチド以下の長さのRNAプローブをクローン化DNAとハイブリダイズし、生じた2本鎖をリボヌクレアーゼAとT1の混合物で処理したところ、生成物の長さは理論値と一致した。考えられる12種のミスマッチについて検査した。センス及びアンチセンスプローブを用いているので、RNA鎖とDNA鎖の組合せのうち一方からは、G:T及びG:Gのように切断されないミスマッチも生じたが、これらはもう一方の組合せを用いることによって切断可能なC:A及びC:Cミスマッチに変換可能であった。1(G)、4(TTCT)、5(ATTTT)、10(ATTTTATTTT)ヌクレオチドの欠失及び挿入も容易に検出された。広島の59人の末梢Bリンパ球から樹立された細胞株のDNA及びそれをpolymerase chain reaction(PCR)により増幅したDNAを用いて、βグロビンの第2介在配列の666番目(IVS2-666)のヌクレオチドのTからCへの多型性置換を検出した。IVS2−666にCをもつ対立遺伝子の頻度は0.48で、Tをもつ対立遺伝子の頻度は0.52であった。観察値はHardy-Weinbergの法則から得られる期待値と一致した。11家族から得られた結果には、メンデル式遺伝に矛盾するものはなかった。PCRで増幅した染色体DNAを用いて、cap site から 1789番目及び 1945番目のヌクレオチドにおける CからA及び AからTへの新しい多型性置換を検出した。染色体DNAにおける変異の大規模スクリーニングにおいて、PCRを用いた RNase cleavage method は有効であると判断した。